出版案内
福祉事業団
47NEWS

妊娠生徒に体育実技要求 京都の高校に批判殺到、対応見直しへ

 京都府立朱雀高(京都市中京区)が1月、妊娠7カ月の3年女子生徒(18)に対し、卒業の条件として体育の実技をするよう求めていたことが分かった。保護者や本人の意向に反し、一方的に休学届も送りつけていた。学業か出産かの二者択一を迫る学校の対応に、文部科学省は「妊娠と学業は両立できる。本人が学業継続を望む場合、受け止めるべき。子育てに専念すべきとなぜ判断したか分からない。周囲の協力を得ながら育児するのは働く女性も高校生も変わらない」と批判している。

 これに対し同高は15日、「学校の認識にかなり古い部分があった。見直さないといけない」として、今後、妊娠生徒への対応を改める意向を示した。

 副校長は4月、妊娠生徒に体育実技をするよう求めた理由について、取材に「妊娠すると子育てに専念すべきで、卒業するというのは甘い」「全日制では妊娠した生徒は学業から離れないといけない。府民の要請がある」などと説明。補習の実技として「持久走などハードなこと」を例示した。

 副校長の見解に対し、同高に苦情や問い合わせの電話が相次いでいるという。

 生徒は同級生と一緒に卒業することを希望していたが、休学届を学校側から渡され、休学している。

 また副校長は同日、「(妊婦にとって)学校が一つの壁だったのは認めざるを得ない。妊娠がマイナスイメージであってはならず、今後、改めないといけない」と述べた。

 京都府教育委員会高校教育課は15日、「高校には、それぞれの生徒の状況に応じて配慮するようにと繰り返し言っている。妊娠も、病気やけがと同様に配慮が必要」との見解を示した。妊娠した生徒の体育授業について「実技ではなく、リポート提出や軽微な体操で配慮できる」としている。

 スポーツ庁学校体育室は「体育の評価は実技だけではない」と、実技にこだわる朱雀高は認識不足と指摘する。学習指導要領にある評価の観点は運動技能含め知識や意欲など4点で、「妊娠や障害など考慮すべき一つ一つのケースを明記せずとも、現行の記述で生徒の人権に配慮した授業は行える。学習指導要領の趣旨が現場に周知されていないのなら残念」とした。

【 2016年06月15日 23時09分 】

京都新聞デジタル版のご案内

    地域のニュース

    全国のニュース

      政治・社会

      滋賀・日野高で模擬投票 全国初18歳投票の町長選控え

      20160615000153

       全国初の「18歳選挙権」の選挙となる可能性が出ている滋賀県日野町長選(6月28日告示、..... [ 記事へ ]

      スポーツ

      巨3―2楽(15日)
      巨人がサヨナラ勝ち

      20160615000151

       【評】巨人がサヨナラ勝ちで連敗を5で止めて3位に浮上した。2―2の九回に2死一、二塁と..... [ 記事へ ]

      経済

      ポスト「爆買い」の集客策探れ 京都高島屋、滋賀大と共同研究

      20160615000118

       滋賀大と京都高島屋(京都市下京区)は本年度、訪日中国人観光客を対象にした共同研究を行う..... [ 記事へ ]

      観光・社寺

      久世駒形稚児決まる 京都・祇園祭、神幸祭と還幸祭で先導

      20160615000122

       祇園祭の神幸祭(7月17日)と還幸祭(同24日)で馬に乗って神輿渡御(みこしとぎょ)を..... [ 記事へ ]

      教育・大学

      特産「万願寺甘とう」、高校生がCM制作 京都・舞鶴

      20160615000038

       京都府舞鶴市泉源寺の東舞鶴高の生徒たちが、地元の特産や歴史を発信する活動「地域創生 東..... [ 記事へ ]

      環境・科学

      目パッチリ!唯一の淡水種バイカルアザラシ、琵琶博に到着

      20160615000139

       7月14日のリニューアルオープンで滋賀県立琵琶湖博物館(草津市下物町)に展示されるバイ..... [ 記事へ ]