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福山主演月9ドラマで描かれた「吃音(きつおん)症」ーー“吃音ドクター”が明かす、見えない障害のリアル

[2016年06月12日]

ドラマ『ラヴソング』の制作には複数の当事者が協力しているが、『ボクは吃音ドクターです。』(毎日新聞社刊)で知られる菊池良和医師もそのひとり(写真提供/松井健太氏)

6月13日に最終回を迎える「月9」ドラマ『ラヴソング』(フジテレビ系)。「吃音(きつおん)症」を持つヒロイン(藤原さくら)が、元ミュージシャンの臨床心理士(福山雅治)と出会い、「音楽」で表現することを通じて、ありのままの自分を受け入れ、成長していく姿を描いたヒューマンドラマである。

これまで正面切って取り上げられることが少なかった吃音というテーマにスポットを当て、「歌う時には、どもらない」というメカニズムを中心に、吃音を持つ人の悩みをリアルに描写した同作は、SNS上では良作と評価する声も続出した。

同症については、現在でも誤った理解や偏見が多く、当事者本人ですら、自分の症状を誤解していることも多い。そこで今回は、そんな“誤解だらけ”の吃音についてドラマ監修者のひとり、菊池良和よしかず医師に伺った。

* * *

「まずは基本的なところから説明しますね。吃音は、言語発達が盛んな幼少期に発症するもので、約74%が自然回復します。一方で、成人後も症状が続く人も多数存在し、吃音の成人は100人にひとりいると言われています。過去には『吃音は精神的なものが原因』だと考えられた歴史もありますが、現在ではその説は否定されています。しかし、いまだに『気の持ちようだ』と“精神論”で治そうとする人や自分を責めてしまう当事者もいるんです」

大前提として、吃音の原因が精神的なものではないということは理解しておくべきことのようだ。また、ひと口に吃音といっても、段階的に様々な症状があるという。

菊池医師によれば、吃音の代表的な主症状は以下の3つだ。

(1)連発性吃音
「ぼ、ぼ、ぼ、ぼく」のように、言葉を出すタイミングが早すぎて、最初の音を繰り返してしまう。
(2)伸発性吃音
「ぼぉーーーく」のように、言葉の最初の音から次の音に移るまでのタイミングが遅いため、最初の音を引き伸ばす。
(3)難発性吃音
「…………ぼく」のように、言葉を言うタイミングが取れず、最初の一音目がスムーズに出ない。阻止、ブロックともいう。声が出ない苦しさから逃れようと「随伴症状」を伴う場合もある。

一般的に吃音というと、「ぼ、ぼ、ぼ、ぼく」のように「どもっているんだな」とわかる(1)の連発をイメージする人が多いだろう。だが、菊池医師によれば、当事者の年齢が上がるとともに(1)や(2)の症状が出る人は少なくなり、(3)の難発が増えていくという。


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