山形のニュース
  • 記事を印刷

<天童木工>世界初、針葉樹を家具用材に

針葉樹を利用した天童木工の机と椅子。世界初の技術で、折れやすい素材がしなやかにカーブを描く=福島県国見町議会の議場(天童木工提供)
西塚直臣常務

 家具製造販売大手、天童木工(天童市)の技術者5人が、「第6回ものづくり日本大賞」で最高賞の内閣総理大臣賞に選ばれた。製品・技術開発部門の受賞は東北の企業で初めて。スギやヒノキなど軟らかい針葉樹を圧密成形加工し、家具用材に利用する世界初の技術の実用化が評価された。

 受賞したのは、西塚直臣常務製造本部長(63)と製造部の社員4人。針葉樹は傷が付きやすく曲げると折れやすいため、家具には向かない木材とされてきたが、5人は圧密加工と成形合板の技術を組み合わせ、家具への利用を可能にした。
 丸太から厚さ3〜5ミリの木材ブロックを切り出し、ロールプレス機で2度、加圧・加熱する(圧密加工技術)。約半分の厚さに圧縮し、強度と硬度を確保できたらこれを必要枚数だけ重ね合わせ、型に入れてプレス機で家具に使う形状に成形する(成形合板技術)。
 同社は2013年に特許を出願し、14年に公開された。圧密成形加工技術を使い、テーブル、椅子、ベンチなど木目の美しい高品質の家具を製造。全国の文化施設や行政庁舎、議場などに採り入れられ、国内外から高い評価を得ている。
 同社は「家具用材のほとんどを輸入材に頼らざるを得ない現状を打破する」ため、国内の森林の7割を占める針葉樹を活用する技術開発に挑んだと説明する。
 経済産業省は受賞理由の中で「人工林の間伐材利用が活性化され、針葉樹の需要拡大、木材の地産地消の活性化へ大きく貢献する」ことに期待を寄せている。
 西塚常務は「大変大きな賞をもらい、光栄に思う。受賞を契機に国産材の利用拡大、森林環境の健全化など日本林業が直面する課題に対し、さらに努力する」とのコメントを発表した。
 表彰式は9日夕、首相官邸で行われる。


関連ページ: 山形 経済

2015年11月05日木曜日

  • 記事を印刷

先頭に戻る