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北朝鮮がミサイル失敗 発射1、2分後に爆発、海へ墜落

2012年4月13日12時43分

写真拡大北朝鮮北西部・東倉里で8日、発射台に設置された長距離弾道ミサイル。国旗と「銀河3」の文字が見える=AP

写真拡大米デジタルグローブ社が3月30日に撮影した、北朝鮮の北西部・平安北道の東倉里(トンチャンリ)のミサイル発射基地の様子。機体の一部が基地内の発射台に移動させている様子がうかがえる=AFP時事

写真拡大米ジオアイ社が公開した東倉里のミサイル発射施設の衛星写真。3月31日に撮影された=AP

図拡大北朝鮮ミサイルの軌跡

 北朝鮮は13日午前7時39分ごろ、北西部の平安北道(ピョンアンブクト)・東倉里(トンチャンリ)の「西海衛星発射場」から、長距離弾道ミサイルとみられる機体を発射した。機体は1〜2分の間に空中で爆発し、海上に落ちた。「人工衛星の打ち上げ」としている北朝鮮も失敗を公式に認めた。主要8カ国(G8)外相は発射を非難する緊急声明を発表。国連安全保障理事会は緊急会合を開いて対応を協議する。

 北朝鮮の朝鮮中央通信は13日正午過ぎ、「人工衛星『光明星(クァンミョンソン)3号』を午前7時38分55秒に発射したが、軌道進入は成功しなかった」と伝えた。専門家らが失敗の原因を究明しているという。北朝鮮が失敗を認めるのは極めて異例だ。

 北米航空宇宙防衛司令部(NORAD)と米北方軍司令部は12日夜(日本時間13日午前)、北朝鮮の「テポドン2」の発射を確認したとする声明を発表した。

 韓国国防省によると、テポドン2を改良した3段式ミサイルとみられ、東倉里から南方に向けて発射されたが、1〜2分の間に爆発。黄海上の南北の軍事境界線である北方限界線(NLL)に近い白●島(●は令の右に羽)の上空151キロで落下を始め、最終的には20個ほどに分解。残骸は韓国西部の平沢、群山の沖100〜150キロの海上に広範囲に落ちたという。韓国軍が回収作業を進めている。

 日本政府は、防衛省の中央指揮所で午前7時40分に米国の早期警戒衛星(SEW)による発射情報を確認。しかし、首相官邸は「北朝鮮が発射したとの一部報道があるが、我が国としては発射を確認していない」と発表。約30分後に「SEW情報を確認した」と修正した。

 北朝鮮が国際機関に提出した資料では、1段目は韓国西方沖の黄海に、2段目はフィリピン東方沖に落下する予定だった。日本や韓国などはミサイルが予定された軌道から外れて自国に落ちてくる場合に備え、迎撃ミサイルなどを配備して対応にあたっていた。

 韓国政府は午前9時過ぎから緊急の外交安保関係閣僚会議を開き、弾道ミサイル技術を使ったいかなる発射もしないよう北朝鮮に求めた国連安保理決議に違反すると確認。北朝鮮が発射を強行したことを「強く糾弾する」とし、「応分の責任を負わなければならない」との声明を出した。

 北朝鮮が3月16日、地球観測衛星「光明星(クァンミョンソン)3号」を運搬ロケット「銀河(ウナ)3号」で打ち上げると予告したのに対し、日米韓などは安保理決議違反などを理由に中止を要求。北朝鮮の友好国である中国やロシアも中止を求めた。

 だが、北朝鮮は「宇宙の平和利用の権利はだれにでもある」と主張。発射前に外国メディアを招き、発射場で「人工衛星」や「運搬ロケット」を公開して「平和利用」を強調したうえで発射に踏み切った。

 また、北朝鮮は「打ち上げ」を15日の故金日成(キム・イルソン)主席生誕100年のお祝いと位置づけているが、昨年12月に死去した金正日(キム・ジョンイル)総書記の後継者、金正恩(キム・ジョンウン)氏が11日に朝鮮労働党トップの第1書記に就任。13日には最高人民会議が開かれ、正恩氏が国家機構の最高ポストである国防委員長に就くとの観測もあり、北朝鮮は新指導者への「祝砲」も兼ねて発射したとみられる。

 今後、北朝鮮が国際社会の非難に反発して3度目の核実験に早期に踏み切る可能性もある。

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