柳本浩市さんが残してくれたもの。

本誌にも登場した稀代のコレクター、柳本さん、ぐっすり眠ってください。

今思うと、柳本さんがある種の天才だったのは間違いない。幼少期から発揮されたという知識の吸収力と分析力は明らかに常人離れしていたし、そこを基点に広い視野で物事を洞察した。それでいて誰とも分け隔てなく付き合い、多くの人に慕われた。交友関係も広く、彼の周囲でどれほどの人と人が結びついたか計り知れない。ますます大きくなる輪の中心にあった柳本さんの突然の不在は本当に惜しく、さびしい。せめてもう一度、あの機知と驚きにあふれた話をじっくりと聞きたかった。

ひとつ望みがあるとしたら、編集された膨大なコレクションが今も存在し、それを読み解く可能性が残されたこと。そこに宿る柳本さんのメッセージが、より明確な形で世の中に届く日を待ちたい。

あれも、これも、柳本さんの仕事でした。

グリフが編集した『ディック・ブルーナ 装丁の仕事』の新装復刻版(フリーライド)。
著書『DESIGN=SOCIAL』(ワークスコーポレーション)。
〈iida〉ではライフスタイルアイテムのデザインディレクションを担当。
原宿のモバイルアクセサリーショップ〈ハイパーマーケット〉もディレクション。
右・エアライングラフィックを集めた『Transit』(共にグリフ)。
左・世界の鉄道や地下鉄のグラフィックを集めた『Mind The Gap』。