米国と日本で新規株式公開(IPO)を目指すLINE(ティッカーシンボル:LN)のロードショー・ビデオが今日、公開されました。
それを見た僕の第一印象は(ストーリーが力不足だな)というものです。
まず「世界を目指す!」というLINEの野望は、2015年下半期に大きく修正され、より現実的な海外展開だけを行ってゆく方針となっています。
具体的には、コア・ターゲット市場を日本、そして台湾、タイランド、インドネシアの各国に限定しました。これは、その他市場(下のグラフの水色部分)でユーザーの離反が始まってしまったことが原因でしょう。

日本の市場では月次アクティブユーザー数をこれ以上増やすことは難しいと思います。すると、ユーザーひとりあたりのエンゲージメント(利用時間)を増やす必要があります。しかしそれが出来る保証は無いと思います。
次に同社の売上高の中身を分析します。

LINEの場合、ゲームの売上高が最も大きいです。それらの大部分は、外部の業者が開発したゲームです。またLINEゲームの月次アクティブユーザーは減少したケースもあり、極めて不安定です。この部分はアメリカの投資家からは高く評価されないと思います。
ステッカーの売上高も同社にとって重要ですが、それは一時の流行に終わる可能性が無いとは言い切れません。またステッカーの売上高の大半が日本であり、海外市場で同じビジネス・モデルが使用できるかどうかは疑問です。
因みに国別全社売上高を見ると、日本の比率が7割となっています。

現在、日本より高いユーザー成長率を誇っている台湾、タイランド、インドネシアの各市場で、日本と同様に効率的にマネタイゼーションできるかどうかは未知数です。
たぶんユーザー当たりの単価は、日本より大幅に低くなるでしょう。
LINEは今月からプログラマティック・アド・プラットフォームを導入しました。しかしそれが成功する保証は無いし、結果として全社的な広告単価を押し下げるリスクもあると思います。
さらにマネタイゼーションのやりすぎが、ユーザー離反の原因になるかもしれません。
LINEはフェイスブックやグーグルなどの強力な競争相手とアド・ダラーを奪い合っています。つまり競争に勝てないリスクもあると思います。
主な費用の内訳を見ると従業員コストの伸びが著しいです。

決済、ライセンス費用はグーグルなど他社に支払う費用、ステッカーの提供者に払う費用などを含んでいると思いますが、これはLINEが自社努力でコントロールしにくい費用項目だと思います。同様のことは認証費用にも言えます。
するともっと厳格に従業員コストを切り詰めてゆく必要があるように感じます。
ロードショーのプレゼンテーションでは今回売出す株数の63%を米国でハメコミすると説明されていました。

しかし米国のIPO市場は現在、「ウインドウが閉じている」状態であり、今年に入ってハイテクのIPOは僅か1件しか値決めされていません。このような厳しい環境で、LINEのIPOが完売できる保証は無いと思います。
特に問題だなと思ったのは、ロードショーの動画に登場するのがインジュン・ファンCFOだけだという点です。そこではLINEがどのような背景から立ちあがったと言う、現場の開発のストーリーがよく伝わって来ません。
これは、ひとつにはLINEの資本の出し手と、現場のオペレーションが遊離しているからではないか? と僕は考えます。もちろん、そうなってしまった背景にはLINEの前身であるライブドアが韓国資本に売却され、その子会社という立場の中から現場の創意工夫でLINEという新しいサービスが編み出されたという経緯があります。
つまりシリコンバレーのスタートアップなら必ず出てくる、エキサイティングな創業物語に類するトークが、LINEのIPOロードショーのプレゼンテーションからは、ぽっかりと欠落しているのです。
その意味でこのIPOロードショー・ビデオは「おざなり」であり、十分に練られてない散漫な印象を与えています。
それを見た僕の第一印象は(ストーリーが力不足だな)というものです。
まず「世界を目指す!」というLINEの野望は、2015年下半期に大きく修正され、より現実的な海外展開だけを行ってゆく方針となっています。
具体的には、コア・ターゲット市場を日本、そして台湾、タイランド、インドネシアの各国に限定しました。これは、その他市場(下のグラフの水色部分)でユーザーの離反が始まってしまったことが原因でしょう。
日本の市場では月次アクティブユーザー数をこれ以上増やすことは難しいと思います。すると、ユーザーひとりあたりのエンゲージメント(利用時間)を増やす必要があります。しかしそれが出来る保証は無いと思います。
次に同社の売上高の中身を分析します。
LINEの場合、ゲームの売上高が最も大きいです。それらの大部分は、外部の業者が開発したゲームです。またLINEゲームの月次アクティブユーザーは減少したケースもあり、極めて不安定です。この部分はアメリカの投資家からは高く評価されないと思います。
ステッカーの売上高も同社にとって重要ですが、それは一時の流行に終わる可能性が無いとは言い切れません。またステッカーの売上高の大半が日本であり、海外市場で同じビジネス・モデルが使用できるかどうかは疑問です。
因みに国別全社売上高を見ると、日本の比率が7割となっています。
現在、日本より高いユーザー成長率を誇っている台湾、タイランド、インドネシアの各市場で、日本と同様に効率的にマネタイゼーションできるかどうかは未知数です。
たぶんユーザー当たりの単価は、日本より大幅に低くなるでしょう。
LINEは今月からプログラマティック・アド・プラットフォームを導入しました。しかしそれが成功する保証は無いし、結果として全社的な広告単価を押し下げるリスクもあると思います。
さらにマネタイゼーションのやりすぎが、ユーザー離反の原因になるかもしれません。
LINEはフェイスブックやグーグルなどの強力な競争相手とアド・ダラーを奪い合っています。つまり競争に勝てないリスクもあると思います。
主な費用の内訳を見ると従業員コストの伸びが著しいです。
決済、ライセンス費用はグーグルなど他社に支払う費用、ステッカーの提供者に払う費用などを含んでいると思いますが、これはLINEが自社努力でコントロールしにくい費用項目だと思います。同様のことは認証費用にも言えます。
するともっと厳格に従業員コストを切り詰めてゆく必要があるように感じます。
ロードショーのプレゼンテーションでは今回売出す株数の63%を米国でハメコミすると説明されていました。
しかし米国のIPO市場は現在、「ウインドウが閉じている」状態であり、今年に入ってハイテクのIPOは僅か1件しか値決めされていません。このような厳しい環境で、LINEのIPOが完売できる保証は無いと思います。
特に問題だなと思ったのは、ロードショーの動画に登場するのがインジュン・ファンCFOだけだという点です。そこではLINEがどのような背景から立ちあがったと言う、現場の開発のストーリーがよく伝わって来ません。
これは、ひとつにはLINEの資本の出し手と、現場のオペレーションが遊離しているからではないか? と僕は考えます。もちろん、そうなってしまった背景にはLINEの前身であるライブドアが韓国資本に売却され、その子会社という立場の中から現場の創意工夫でLINEという新しいサービスが編み出されたという経緯があります。
つまりシリコンバレーのスタートアップなら必ず出てくる、エキサイティングな創業物語に類するトークが、LINEのIPOロードショーのプレゼンテーションからは、ぽっかりと欠落しているのです。
その意味でこのIPOロードショー・ビデオは「おざなり」であり、十分に練られてない散漫な印象を与えています。