肺がんにも免疫チェックポイント阻害薬「ニボルマブ」
免疫チェックポイント阻害薬と呼ばれるタイプの抗がん剤であるニボルマブ(一般名、商品名はオプジーボ)は肺がんでも有望になってきている。悪性黒色腫に続いて、進行性扁平上皮型の非小細胞肺がんにも有効であると今年報告されている。
免疫チェックポイント阻害薬と呼ばれるタイプの抗がん剤であるニボルマブ(一般名、商品名はオプジーボ)は肺がんでも有望になってきている。悪性黒色腫に続いて、進行性扁平上皮型の非小細胞肺がんにも有効であると今年報告されている。
肺がんの進行を押しとどめられるか
注目された研究報告の一つは、米国ジョンズ・ホプキンス大学シドニー・キメル総合がんセンターのジュリー・ブラーマー氏らの研究グループが、有力医学誌のニュー・イングランド・ジャーナル・オブ・メディシン誌2015年7月9日に報告したもの。肺がんにもさまざまある。塊を作るタイプの肺がんで、進行性扁平上皮型の非小細胞肺がんとなると、初回の化学療法、あるいはその後に進行すると、治療の選択肢が限られるので大きな問題となっている。ここで、研究グループはニボルマブの有効性と安全性を試している。
がん細胞を攻撃できなくする仕組み
がん細胞は、免疫細胞(Tリンパ球)により攻撃される。がんを殺すTリンパ球は「PD-1」と呼ばれるタンパク質でがん細胞とつながる仕組みがある。がん細胞がPD-1をつかむような形になると、つかまれたTリンパ球はがん細胞を殺す力を失うというもの。がん治療にとっては厄介な仕組みになる。この仕組みは免疫チェックポイントと呼ばれており、通常は免疫の暴走を防いでいるとされる。ニボルマブは、がん細胞にPD-1をつかませないように、PD-1を覆って、免疫力を強める効果を持っている。薬を発見したのが日本の小野薬品と知られている(がんを「フル攻撃」させる薬剤、悪性リンパ腫で効果、有力医学誌で報告を参照)。専門的には、ニボルマブは、ヒトPD-1に対する「ヒト型IgG4モノクローナル抗体」という薬となる。研究グループは既存の薬であるドセタキセルと比べて検証している。
がん細胞を攻撃できなくする仕組み
研究グループは272人をランダムに2つのグループに分け、ニボルマブのグループは体重1kg当たりニボルマブ3mgを2週間ごとに投与する、ドセタキセルのグループは体の表面積1平方メートル当たりドセタキセル75mgという用量で3週間ごとに投与した。生存期間の平均は、ニボルマブで9.2カ月、ドセタキセルで6.0カ月。死亡率は、ニボルマブの方がドセタキセルよりも41%低かった。1年後の生存率はニボルマブで20%、ドセタキセルで9%。進行のない平均生存期間はニボルマブで3.5カ月、ドセタキセルで2.8カ月。薬のターゲットになるPD-1が表れているかどうかで効果は予測できなかった。治療に関連する重症度3または4の有害事象は、ニボルマブ群では7%、ドセタキセル群では55%。副作用は少ないと見られた。肺がんでも免疫チェックポイント阻害薬の効果は期待できそうだ。
文献情報
Nivolumab versus Docetaxel in Advanced Squamous-Cell Non-Small-Cell Lung Cancer. - PubMed - NCBI
N Engl J Med. 2015 Jul 9;373(2):123-35. doi: 10.1056/NEJMoa1504627. Epub 2015 May 31. Clinical Trial, Phase III; Comparative Study; Multicenter Study; Randomized Controlled Trial; Research Support, Non-U.S. Gov't
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