葬儀を執り行う上で、重要な役割のひとつに「受付」があります。
葬儀に参列した方ならご存知でしょうが、記帳のお手伝いや香典をお預かりする役割を担っています。
「受付」の存在は知っているが、実際に受付を担当したことのある方は少ないのではないでしょうか?
また、受付を行う機会はそうそうあるものではありませんので、一度や二度の経験では完璧な受付のマナーを
習得することは難しいでしょう。
人の死は突然やってくるもの。いつか来るのは分かっているが、準備を万全にするのは難しいもの。
この記事では「葬儀の受付が確認しておきたい守るべきマナーまとめ」と題しまして、
いざというときに慌てずに葬儀の受付を執り行えるための手順とマナーをご紹介します。
大切な方を失って心の余裕がない中、葬儀を執り行うことは大変な労力を費やします。
傷心したご遺族や喪主の方をサポートし、余裕をもって故人を見送る手助けをする「受付」は大切な役割です。
適切なマナーを普段から身に着けておけば、突然頼まれた場合でも冷静に対応することが出来ます。受付自体はそれほど難しいものではなく、誰にでも行える役割です。しっかりとポイントを抑え、いざという時に備えておきましょう。
では、「葬儀の受付が確認するべきマナー」を順を追ってみていきます。
1.受付は誰が担当するのか?
そもそも「葬儀の受付」は誰が担当するのが適切なのでしょうか?
一般的には、「直系以外の親族の方」が受け持つことになっています。
1-1.直系以外の家族とは
直系家族とは直接的な親子関係に加えて、親の親もしくは子の子といった関係の連鎖で結ばれる関係をいいます。
ですから、直系家族以外とは故人の親、子、孫以外の親族ということになります。
1-2.町内会や会社の方にお願いする
親族以外では町内会の方や勤めていた会社の方に頼む場合も多くあります。
地域によってはご近所とのご縁が強いこともありますし、持ちつ持たれつの関係が構築されている場合、
「遠くの親戚より、近くの他人」という言葉もあるように、町内会の方が率先して受け持つことも多いのです。
1-3.直系以外の親族や町内会の方や会社の方に頼む理由
受付の方は、葬儀が始ってもその場を離れることが出来ません。
直系の親族が受付をしてしまったら葬儀に参列することが出来なくなります。
また、途中から葬儀に参列するということはマナー違反にあたりますので、
出来るだけ直系の親族の方には受付をやらせないようにしなければなりません。
そういった意味で町内会や勤め先の方に頼むのは最適であるといえます。
1-4.ただし受付を受け持つ人に決まりはない
昨今では「家族葬」といって、限られた身内のみで行う小規模な葬儀が増えています。
参列者が近しい親族ばかりになる場合や、直系の親族のみということも考えられます。
ですから、必ずしも直系の親族が受付をやってはいけないということではありません。
直系だけの受付ですと、細かい作業が不要の場合もありますので、
臨機応変に形式を変えて受付を行うのがよいでしょう。
1-5.受付をお願いできる方がいない場合
様々な事情により、受付をお願い出来る方がいない場合があります。
そういった場合は、受付代行をお願いすることも可能です。
葬儀社に受付を頼む「受付代行」というものが用意されている場合もありますので、
前もって受付代行が可能かどうか葬儀社と打ち合わせをしておくのが良いでしょう。
葬儀社の受付代行はいわばプロですので安心してお任せすることができます。
ただし、別途費用がかかることがほとんどですので注意が必要です。
2.受付の準備
受付係にとって重要なことは、まず全体の流れを把握することにあります。
どういう手順で葬儀が行われるのかはもちろん、
どういったことを事前に確認しておかなければならないのかを把握しておきましょう。
受付開始定刻の30分前までには全ての準備を完了し、受付場所で待機します。
また焼香は葬儀が始まると機会がなくなりますので、弔問客が少ないうちに交替で済ましておきましょう。
2-1.会場のレイアウトと全体の流れを把握する
受付係は会場のレイアウトやトイレの位置を把握することが必要です。
弔問客から、トイレの場所・駐車場の場所・遺族の所在部屋・葬式の開始時刻などを聞かれたら
すぐに答えられるようにします。
2-2.受付用具を準備
会場のレイアウトが把握出来たら、次に受付用具を準備・配置します。
用意するものには、芳名帳・筆記用具・香典受け・名刺受けなどがあります。
2-3.芳名帳とは
芳名帳とはどういったものでしょうか?
葬儀における芳名帳は会葬者名簿の役割をします。
参列した人は、受付で住所や名前を記入します。
芳名帳の他に香典帳を準備している場合では、参列した人の名前だけを芳名帳に記入してもらい、
香典帳の方に、香典袋に記載されている人の名前を、全て記入してもらうようにします。
芳名帳は参列した方のみ記載するものです。
代理の立場で芳名帳に記載する時は、立場や状況によって、記載する内容も違います。
会社などの代表で参列する場合は、会社名と会社の住所を書き、その下に代表と書いて、代表者の名前を書きます。
上司の代理の場合は、会社名、会社の住所、上司の名前に代理として、自分の名前を加えます。
妻が代理で夫の仕事関係、知人の葬儀に参列するという場合なら、夫の名前を記入し、下に「内」の文字を加える書き方もあります。
妻が代理で親類の葬儀に参列する場合は、家単位での参列ですので、夫婦双方の名前を記入します。
芳名帳は各行の頭に順番に番号をふっておきます。
その際、香典に同じ番号を振っておけば誰からの香典なのか整理しやすくなります。
2-4.筆記用具
筆記用具で必要なのは黒のボールペン・サインペン・筆ペンです。
芳名帳に記入していただくものですから、ちゃんとインクが出るかを事前に確認しておきましょう。
2-5.香典受け・名刺受けを準備
香典や名刺を受け取った際に、スムーズにしまえる場所に配置します。
2-6.会葬礼状と会葬御礼品
会葬礼状と会葬御礼品をセットし、袋詰めをします。
袋詰めした会葬御礼品は机の上や後ろなど渡しやすいところに用意しておきます。
会葬御礼品は通夜や葬儀・告別式に参列した人全員に、会葬礼状と一緒に渡す返礼品のことです。
3.受付の挨拶~ご案内
弔問客をお迎えするのが受付係の主な役割になります。
受付係は遺族の代理で弔問客をお迎えするわけですから、言葉使いや振る舞いには細心の注意を払わなければなりません。
遺族の立場にたって、弔問客がお悔やみを述べられてら心からお礼を代理でのべます。
3-1.受付での挨拶
弔問客がお悔やみを述べたら、遺族に代わってきてくださった方にお礼を述べます。
お礼の例として、
「本日はお忙しい中おこしいただきましてありがとうございます」
雨天の場合は、「本日は足元のお悪い中をお越し頂き、ありがとうございます」
などと挨拶しましょう。
相手の顔をしっかりみて、お辞儀をし、失礼のないようにするのがポイントです。
3-2.香典を受け取る挨拶
弔問客が香典を差し出してきますので、
「お預かりします」
と言い、香典を必ず両手で受け取って一礼します。
「ご丁寧にありがとうございます」などもよいでしょう。
この時に香典袋の表書きを確認し、苗字だけの方には下の名前もお聞きしましょう。
受け取った香典は、弔問客が目の前を立ち去ってから会計係に渡します。
会計係は受付のすぐ後ろにいる場合が多いです。
香典には現金が入っており、弔問客によっては相当な額の場合もありますので取扱には十分に注意しましょう。
弔問客が途切れたタイミングで会計係の手伝いに回る場合もあります。
3-3.芳名帳に記帳してもらう
弔問客に芳名帳に記帳していたく場合には、
「恐れ入りますが、こちらにご住所とお名前をご記入下さい」
「恐れ入ります。こちらにお名前とご住所をお書き頂けますでしょうか」
などが一般的です、
前述しましたが、芳名帳には各列に通し番号をふっていますので、
弔問客が受付を離れた際に、香典袋に同じ番号をふっておきましょう。
そうすることで、芳名帳と香典の管理がしやすくなります。
3-4.返礼品のお渡し
弔問客が芳名帳への記帳を済ませ、香典も受け取ったあとは
会葬礼状と会葬お礼品を渡しします。
香典が連名になっている場合は、全員に返礼品が行き届くように数を確認してお渡しします。
3-5.弔問客の案内
弔問客を葬式会場へご案内します。
「告別式はあちらでございます。靴を脱いでお進みください」
などと声をお掛けして式場へご案内しましょう。
葬儀の規模が大きい場合は案内役が別に用意される場合もありますが。
受付係が案内役を兼任していることが一般的ですので、
告別式会場への導線は必ず確認しておきましょう。
会場によっては段差があったり、弔問客のかたがご高齢であったりする場合も想定する必要があります。
臨機応変に対応し、弔問客に失礼にならないようにするのがポイントです。
また、雨天などの場合は傘の置く場所や、足元が滑りやすくなるなどの声掛けも重要です。
弔問客の中には大きな荷物を持った方が、荷物を預かってほしいといわれる場合があります。
そういった場合は、同番号札を2枚づつ用意しておき弔問客へひとつを、もうひとつを荷物につけます。
ただし、クロークは場所をとるためスペースを確保できない場合はお断りすることも大切です。
特に貴重品はお預かりせずに、各自で管理していただくように伝えましょう。
紛失した場合、トラブルの原因になります。
3-6.芳名帳は複数用意
芳名帳の記帳はそれなりの時間がかかります。参列者が多くなればそれだけ込み合う可能性が高くなります。そういった混乱を防ぐために芳名帳は2~3冊用意しておき、多くの参列者が同時に記帳できるようにしておきましょう。芳名帳の記帳のあとは香典を受け取り、さらに返礼品を渡すという流れがありますので、受付の中で「記帳を促す係」「返礼品をお渡しする係」「場内へ案内する係」など役割をあらかじめ分担しておくと混乱を防ぐことができます。長い机を用意するスペースも限界がありますので、的確に参列者を誘導できるように導線をイメージしておくとよいでしょう。
3-7.お供物・弔電を受け取ったら
お供物を受け取ったら記帳したのちに、会場係または葬儀社の人に渡して祭壇に供えてもらいます。また弔電を受け取ったら記帳したのちに、進行係に渡しましょう。
4.後片づけと香典の整理
葬式が無事に終わりますと、後片付けと香典の整理を行います。
4-1.会葬御礼品をまとめる
葬儀終了後、残った会葬御礼品をまとめます。
会葬御礼品は葬儀社が引き取ってくれます。
4-2.芳名録・名刺・香典袋の整理をします
頂戴した香典袋の名字とお名前を確認し、記入漏れがないかを確認します。
名刺もまとめておきましょう。
4-3.香典袋の開封
責任者より指示が合った場合は香典袋を開封して香典帳への記入します。
先ほどの番号を参考にして間違わないように注意しましょう。
4-4.事務の引き継ぎ
受付責任者の方は、整理された芳名録・名刺・香典袋を世話役の方にお渡しします。
このとき、会葬者からの伝言があれば、一諸にお伝えします。
4-5.お手伝いの終了
お手伝いが終了したら、世話役または責任者に挨拶をして帰ります。
5.受付係の服装
受付係の服装は喪服が基本になります。
遺族・弔問客に対して不快な恰好や髪型は慎みましょう。
5-1.男性
・服装
スーツ・・・上下黒のもの
ワイシャツ・・・ワイシャツは白
その他・・・ネクタイ、靴下、靴は黒
遺族に代わり、弔問客の対応をしますので必ず喪服を着用します。
靴はエナメルは不可、光る飾りのついたものは不可です。
・髪型
長い髪の場合は後ろでまとめるなど、慎みのある髪型にします。
5-2.女性
・服装
上着・・・黒いワンピースまたは黒いスーツ
足元・・・ストッキングは肌色または黒
その他・・・靴、バッグは黒
遺族に代わり、弔問客の対応をしますので必ず喪服を着用します。
靴はエナメルは不可、光る飾りのついたものは不可です。
女性の場合、受付係は動き回ることが多いので、ハイヒールのかかとは低いものをおすすめします。
また肌を多く露出するものはNGです。
・髪型・アクセサリー
光沢があるヘアアクセサリーや派手な髪飾り、派手なリボンはNGです。
長い髪の場合は後ろでまとめるなど慎みのある髪型にします。
ノーメイクにする必要はありませんが、派手な化粧は好ましくありません。
6.まとめ
葬儀の受付係は、いわば葬儀の顔です。
遺族や弔問客の両方の気持ちを考えた行動が求められます。
といはいっても、それほど難しいものではありません。
上記のルールやマナーを頭に入れて、心からお迎えする気持ちさえもてば誰にでも行えるものです。
いざという時に慌てないように、今から頭で流れを把握するだけで、
実際に受付係を頼まれた際に、迅速な行動がとれるのではないでしょうか。
受付係が的確な行動をとることで、遺族や弔問客も安心して故人を見送ることができます。
是非、参考にしてみてください。











