[PR]

 市民が加わった裁判員裁判で少年に言い渡された死刑判決について、最高裁が16日、初めての判断を示す。2010年に宮城県石巻市で元交際相手の姉ら2人を殺害、1人に重傷を負わせたとして、殺人罪などに問われた元少年(24)。上告審判決を前に10日、被告が仙台拘置支所で朝日新聞記者の面会に応じ、思いを語った。

 「二つの気持ちが交ざり合っていて、複雑です」

 被告は少し長めの黒髪で、ストライプのシャツに紺のベスト姿。時折考え込みながら、記者の目を見て話した。「大切な人を失った遺族の気持ちになれば、俺も同じ目に遭うべきだ、という怒りは当然だと思う。逆に、この6年、手を差し伸べてくれた人たちと積み重ねてきた日々を思うと、再起したいという気持ちもある」

 一、二審の判決などによると、被告は複雑な家庭環境で育った。母親から暴力を受け、食事を与えられなかったことも。「子どものころから、心の内を話せる相手はいなかった」

 拘置所では、弁護士や支援者と事件の原因を考えてきた。「他人が、こんな自分のために一生懸命になってくれる。俺にとっては、温かい時間だった」「傷つけられたから、自分が傷つけ返して、また傷つけ返されるというループ(連鎖)から、もう抜け出したい」