熊本地震をめぐるテレビ報道や取材に対し、放送倫理・番組向上機構(BPO)に200件以上の意見が寄せられ、批判的な意見が大半を占めていることが明らかになった。取材者のモラルを問う視聴者の声がSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)で拡散したケースも目立ち、災害報道のあり方に重い課題を投げかけている。(三品貴志)
BPO放送倫理検証委員会によると、熊本地震の報道に関し、視聴者からは次のような批判や苦情が寄せられたという。
「ヘリコプター取材の騒音などが被災者の救助の妨げになっている」▽「避難所に止まっている報道車両のために避難者が駐車できなかったり、夜間の中継や照明のために睡眠を妨害されたりしている」▽「行方不明者の搬出作業をテレビカメラが撮影するため、探索隊はシートで目隠しをしなければならず、作業の遅れにつながる」−。
一方、今回、関西テレビ(大阪市)の中継車が、熊本県内のガソリンスタンドで給油待ちの車列に割り込んだとして謝罪した。また、現地入りした毎日放送(MBS、大阪市)のアナウンサーがツイッターに弁当の写真を投稿し、「食料が不足している中で現地調達した」などとする批判が続出。同局は「配慮に欠けた」として謝罪した。BPOには、これらの問題への批判も寄せられたという。
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