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「第一列島線」を死守せよ

2016年06月14日(火) 近藤 大介
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〔PHOTO〕gettyimages

「現代の偉大な習近平主席を称えなさい」

6月9日は、中国では端午の節句だった。端午の節句は、戦国時代末期の楚の大政治家・詩人の屈原を称えた日で、ちまきを食べたり、香草の風呂に入ったり、竜をかたどった舟を川に浮かべて乗ったりする風習がある。

中国では、この日から3連休となったが、今年の端午の節句は、中国国内でも、また国外でも「異変」が起こった。

まず、中国国内から見ていこう。

例年の端午の節句のトップニュースはと言えば、「端午の節句の今日、全国各地で様々な催し物が行われました」という祝日のイベント紹介だった。ところが今年に限っては、「習近平総書記は過去に様々な形で、屈原を引用して講話を述べられました」というニュースに一変したのである。

例えば、習近平主席は、一昨年9月3日の「抗日戦争勝利69周年記念座談会」で、抗日戦争で斃れた愛国烈士を称える談話を述べた。その際、屈原の連詩「九歌」の「国殇」から、次の句を引用したという。

〈 武を以ってなす誠の勇士は、最期まで頑強で敵に辱められることはなかった。身はすでに死に絶え、霊となって神のもとへ行っても、毅然とした魂は、鬼神の英雄となっている 〉

他にもこのような実例が3例挙げられている。つまりこの国営新華社通信発のニュースの主旨は、「偉大な屈原を称えるこの日、現代の偉大な習近平主席を称えなさい」ということなのである。加えて、「たとえ端午の節句の祝日だろうが、抗日の精神を忘れてはならない」と説いているのである。

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