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バカらしいといわれつつも、ふとしたことから話題にあがりやすい血液型の話。A型が几帳面だとかB型はノロウイルスにかかりにくいといった話はよく知られている。
しかし、なぜいきなりアルファベットが飛び、Oになってしまうのかはご存じだろうか。実はあまり知られていないO型の秘密について、ひも解いていこう。
●もともとはC型だった
血液型を発見したカール・ラントシュタイナーは、その種類を3つに分けた。A型、B型、そしてC型である。この三種類は赤血球の表面に結合するものによる。それぞれの特徴を見ていこう。
A型はアセチルグルコサミン転移酵素を持つ。アセチルグルコサミンを受け入れ、Bが受け入れることのできるガラクトースを受け入れることができない。
B型はガラクトース転移酵素を持つ。ガラクトースを受け入れ、Aが受け入れることのできるアセチルグルコサミンを受け入れることができない。
C型はアセチルグルコサミン、ガラクトース、どちらの転移酵素も持たず、どちらも受け入れない。
簡単に言えば、Aの形をした器にBは入らず、Bの形をした器にAは入らない。Cは器がないため、どちらも入れることができないということだ。
●発見される「AB型」、そして「O型」と呼ばれるように
1902年、ラントシュタイナーの弟子たちによってA、B双方の転移酵素を持つ「AB型」が発見された。アセチルグルコサミンとガラクトースの双方を受け入れ、ABどちらの抗体も作らない。これをD型と呼んでしまってはややこしい。
このため、抗原を持たないC型がO型として定着するのである。Oは何かの物質を表すわけではなく、「何もない」ことを示すものであった。前述のとおり、C型は抗原を「持たない」血液型だった。そこで何もないという意味で「0(ゼロ)型」とつけられた。
英語ではゼロのことを「オー」とも呼ぶため、またAやBがアルファベットのため、0(ゼロ)がOと読み間違えられることが多く、1927年、国際連盟の専門委員会によって正式にアルファベットの「O型」という呼称に定められた。
●O型は万人に通用する血液型なのか
ABO式以外にも抗原の違いはあり、今のところ血液型は16の形式で分けられるというが、輸血ではABO式が一番重要となってくる。長らく、輸血で他人の血液を必要とするとき、O型はどの型の人間にも順応すると言われてきた。これは抗原を持たないため、入れ物が反応せず、抗体ができないからだ。つまり血液凝固することがない。
AB型はどちらの抗原も受け入れる器があるため、理論上はどの型でも受け入れられるとされてきた。しかし、現代では「輸血は同じ血液型同士で」という決まりになっている。また同じ血液型でもRH + か - か、で区別しなければいけない。他の抗原の関係や、赤血球の破壊などのリスクをともなうため、やはり安全とはいえないのだ。
別の血液型だと凝固してしまうことを、抗原抗体反応と呼ぶ。面倒なシステムだが、これが働いているということは、免疫がついている証拠である。自分の細胞以外の異物が入ったとき、これを排除する働きは人間にはなくてはならないもの。上手に付き合っていくしかなさそうだ。
●知られざる血液型の世界
有力なものは以上にあげたものだが、実は諸説あり、CをOと見間違えたという説、ドイツ語の“Ohne”という単語が、「ない」という意味を持ち、頭文字のOからとったのではないかという説もある。
血液型については、まだまだ未知の部分がある。よく言われている血液型による性格の違いが本当にあるのかどうか、まだよくわかってはいない。
1990年にABO式の血液型塩基配列が解読されてから三十年余り、これから、より詳しくわかっていくこともあるかもしれない。何でもかんでも情報をうのみにしたり、ましてや性格と関連づけて差別するなどということがあってはならないが、より詳しい分類ができることで医療の発展が望めるならば、これほど素晴らしいことはない。
血液型のA、B、AB、Oという符合の並びに限らず、身近にある素朴な疑問には面白い発見が期待できる。このような事象に興味を持って調べてみることをオススメしたい。そして先人の知識に触れてみよう。
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