東京都の舛添要一知事(67)による政治資金流用疑惑を巡り、都議会の代表質問が7日始まった。与党である自民、公明両会派の代表は「知事失格だ」などと追及を強めたが、辞任要求は盛り込まれず、議場からは「自公、ガス抜きに終わらすな!」と厳しいヤジが飛んだ。知事は6日に調査報告を公表した際の会見と同じ内容の発言を繰り返すのみで、都議会による初日の知事追及は不発に終わった。

 舛添氏は約6時間に及ぶ代表質問を時折、目を閉じ、うなだれ、そして数十秒後に「ハッ」と目を開ける行為を繰り返した。誠意のない姿勢に、14年の都知事選で舛添氏を推した自民、公明の両会派も厳しい質問を浴びせた。

 13、14年の正月に家族同伴で宿泊した千葉県木更津市にある「龍宮城スパホテル三日月」の問題で、6日に公表した調査報告書で「出版会社社長を客室に招き会議をした」としている件について、自民党の神林茂都議は名前の開示を求めた。しかし、舛添氏は「先方の都合がある」と拒否。これに対し「議会にも答えられないのか! どうみても家族旅行に政治資金。セコイ話だ」と切り捨てた。

 公用車で頻繁に訪れていた神奈川県湯河原町の別荘を「けじめ」として売却する意向を示したことに「摩訶(まか)不思議なロジック。『公』ではなく『私』の施設の売却で、けじめをつけること自体、問題の公私混同」と指摘した。

 公明党の上野和彦都議は15年9月11日、茨城県常総市の水害に都職員を緊急派遣した際にも「湯河原に行っていた」と指摘。都で災害があった場合、知事はヘリコプターで都内に戻るとしているが「そのヘリがあればどれだけの都民の命が救えるか」と皮肉った。

 しかし、共産党が辞任と百条委員会設置、民進党が辞任を含めた「身の処し方」を追及したのと対照的に、自公は去就までは踏み込まなかった。神林氏は辞任要求がなかったことに「段階を踏んでいく」とし、上野氏は総務委員会での集中審議について「総務委で決めること」と明言しなかった。ある野党都議は「あそこまで厳しく言って集中審議をやらなければ(自公も)大変なことになる」と語る。今日8日の一般質問を経て、9日の総務委理事会で協議し、一問一答方式の集中審議が実現しなければ、都議会への不信感も強まりそうだ。【三須一紀】