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群馬県教委、コンサート「悪魔の飽食」 内容精査せずに後援 県教委の政治的中立性を損なうと指摘も

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群馬県教委、コンサート「悪魔の飽食」 内容精査せずに後援 県教委の政治的中立性を損なうと指摘も

 昨年11月に前橋市で開催された旧日本軍の「731部隊」をテーマにしたコンサート「カンタータ『悪魔の飽食』」について、群馬県教育委員会がコンサートの内容を精査せず、後援をしていたことが8日、わかった。

 「悪魔の飽食」は作家、森村誠一氏のノンフィクション作品として知られているが、同氏著の「続・悪魔の飽食」(光文社)の中で、731部隊による捕虜の生体解剖として掲載された写真が、実際は明治時代のペスト防疫の写真だったことなどが判明し、「悪魔の飽食」は一時絶版となった。

 森村氏は写真の“誤用”を認めたものの、全国で開催されている同コンサートのために原詩を書き、公演に深く関わっている。

 8日に開かれた県議会文教警察常任委員会では、自民党の井田泉県議がこの問題を取り上げ、コンサートの呼びかけ人に共産党の志位和夫委員長や社民党の福島瑞穂副党首が名を連ねている点を挙げて、同コンサートの後援が県教委の政治的中立性を損なうと指摘した。

 県教委は後援を決めた経過について「文化振興にかかわる後援の事務処理は生活文化スポーツ部が行う」と説明し、同部が県としての後援を承認したため、県教委も従ったとしている。県教委の担当課長は後援承認の過程で県教委が関知していたのか、井田県議に問われると、「関知していない」と答えた。

 今年4月に就任した笠原寛教育長は「県教委の後援にはメッセージ性がある。文化担当の部局と中身も含めて確認を取りながら、進めていく必要がある」との見解を示した。

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