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出陣
(ここで、行ったら死ぬかも知れない・・・)
おとめの頭に、信長の哀愁漂う表情が浮かんだ。
(もしかすると、あの表情の裏に隠された感情が分かるかも知れない・・・)
「どうする。」
「行く!私をつれってって。」
「案ずるな。 お前を死なせはしない。」
甲冑という、今で言う防弾チョッキの重くてゴツイ版みたいなやつを
装着して外に出た。
軍の中の一人が太鼓を持ってて、もう一人が貝を持っている。
「いざ、出陣!!」 と言うと、その男達は音を鳴らし始めた。
(あ~ そういえば、雅ちゃんが_____ )
「おとめ、この貝良くない?」
「もっとキラキラしてるほうが良い~」
「これね、ほら貝って言って、戦い始めっていうのかな、出陣するときに鳴らすの。」
(戦い始めか・・・)
「さあ、乗れ! 奇天烈おとめ!」
(!? また、こいつに摑まって行くの!?)
馬に揺られること約2時間。
遠くに今川軍が見える。
武士には見えないような質素な服を着ている人々がいる。
「ねえ、ねえ。あの人たちは?」
「農民の格好をした、わしの部下たちだ。」
ニヤリと笑う。
「今川様~ 長い戦大変でございましょう~。」
「我々、農民からのささやかな酒と餅でございます。」
「ほほう~ これはありがたい。 丁度腹が減っていたところじゃし、飯にするか。」
敵大将、今川義元である。
「盛り上がってますけど!?」
信長は何も言わない。 様子を伺っているのだろうか。
すると、急にポツポツと雨が降ってきた。
突如、豪雨が降りしきり、今川軍の足を止めた。
さらに、視界は悪くなってきた。
「さあ、進め!!」
一斉に軍が前に進みだした。
「天は我に味方せり!」
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