川崎汽船株 外資ファンドが3分の1超取得

川崎汽船株 外資ファンドが3分の1超取得
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大手海運会社、川崎汽船の株式をシンガポールの投資ファンドが34%余りまで買い増しして、株主総会で重要事項の決定を阻止できる事実上の拒否権を持つ3分の1を超える割合の株式を保有していることが明らかになりました。
シンガポールに拠点を置く投資ファンドのエフィッシモ・キャピタル・マネージメントが、今月9日付けで関東財務局に提出した大量保有報告書によりますと、大手海運会社、川崎汽船の株式を買い増しした結果、保有比率は34.11%と、発行済み株式の3分の1を超えたことが明らかになりました。保有比率が3分の1を超える株主は、株主総会で合併や定款変更といった重要事項の決定を単独で阻止できる事実上の拒否権を持つことになります。

川崎汽船は、電化製品や衣料品を運ぶコンテナ船のほか、石炭や鉄鉱石を運ぶ貨物船、それに、自動車の運搬船などを、ことし3月末の時点で550隻、運航する海運業界の大手ですが、世界経済の減速の影響でことし3月期の決算では、最終的な損益が515億円の赤字でした。

エフィッシモによる株式の買い増しについて、川崎汽船は「理由については個別株主のことで、コメントは控えたい」と話しています。一方、エフィッシモは、株式を取得した理由を純投資と説明していますが、経営の重要事項に関わることも可能なだけに、今後の動向に注目が集まりそうです。

川崎汽船とは

川崎汽船は東京・千代田区に本社があり、日本の海運業界の大手3社の一角を占めています。大正8年に、現在の川崎重工業にあたる会社が、海運事業に進出する際に新たに設立した会社で、90年以上の歴史を持つ老舗の海運会社です。

現在は、電化製品や衣料品を運ぶコンテナ船のほか、石炭や鉄鉱石を運ぶ貨物船、自動車の運搬船、それに、LNGや石油を運ぶタンカーなど、ことし3月末の時点で自社で所有する船とリースしている船とで合わせて550隻を運航しています。世界的な景気低迷の影響で、コンテナ船や貨物船の運賃が落ち込んだことや、保有する船の処分などを行ったことで、ことし3月まで1年間のグループ全体の決算は、最終的な損益が515億円の赤字と4年ぶりの最終赤字に陥っています。