名古屋城の天守閣に「入場制限」が設けられるかもしれない。
耐震強度の問題から
名古屋市の河村たかし市長が13日、名古屋城天守閣への入場制限を検討する考えを明らかにした。
計画している「天守閣木造復元」に関する約10億円の補正予算案が認められなかった場合に、耐震強度が低く危険な状態であることから入場制限を検討せざるを得ないという。
1959年再現の天守閣
名古屋市では名古屋城天守閣の木造復元計画が進められている。
現在の名古屋城天守閣は1959年に再建されたもので、コンクリートの劣化や設備の老朽化、耐震構造が国の安全基準を大きく下回っていることから、耐震補強や建て替えが議論。
名古屋市の河村市長は「世界にアピールできる千載一遇のチャンス」として2020年の東京オリンピック・パラリンピックまでに復元する方針を示していた。
474億円~505億円で木造復元?
耐震改修する案もあるが、名古屋市は耐震性能が現行基準に合わず約29億円かけて耐震改修したとしてもおおむね40年の寿命だとして、天守閣木造復元案を募集。
総事業費約474~約505億円の竹中工務店の提案を優秀提案に選び、名古屋城天守閣木造復元のイメージCGを公開すると共に、市民向けに報告会の開催やアンケートなどを実施。
なお、事業費は市債発行などで財源を確保し入場料収入で返済するとして、市民以外の入場料を1000円に値上げする方針を示していた。
「石垣を優先すべき」との声も
しかし、4月に発生した熊本地震で熊本城が被災し甚大な被害を受けた影響で、「石垣の保護対策を優先すべき」「石垣修理後に木造復元を図るべき」などの意見が相次ぐようになったとか。
竹中工務店の案では、石垣の改修は2029年の予定となっている。
45%の確率で30年以内に震度6以上
全国地震動予測地図2016年版によると、名古屋城のある名古屋市が今後30年に震度6以上の地震に見舞われる確率は45%。
「J-SHIS Map」HP
ネット上には「危険な状態なのであれば、予算案の成立・不成立とは関係なく今すぐ入場制限すべき」という声も投稿されていた。