歴史
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砂丘から古墳時代の遺跡 ほぼ完全な人骨出土 鎌倉・由比ヶ浜

 神奈川県鎌倉市由比が浜一帯に広がる砂丘遺跡から、古墳時代のものとみられる2体の人骨がほぼ完全な形で見つかった。周辺では、古墳時代から鎌倉・室町時代の建物や井戸なども見つかっており、市では12日、発掘現場を一般に公開し、見学会を開催した。

 

 人骨が出土したのは、鎌倉市が進めている津波避難施設や保育園などを建設するための予定地で、建設に先立ち、今年2月に埋蔵文化財の発掘調査を開始。

 

 長谷小路周辺の約1100平方メートルを対象に調査を行ったところ、これまでに鎌倉・室町時代の竪穴建物が7軒のほか、井戸や溝の中に捨てられた犬や馬などの骨が見つかっている。

 

 古墳時代の遺跡では、5〜7世紀ごろのものとみられる石棺の墓と、8メートル余り離れた場所に、土を掘った土坑墓(どこうぼ)が発掘され、そこからほぼ完全な形で人骨が見つかった。

 

 このうち、石棺墓は泥岩を長さ235センチ、幅114センチに積み上げたもので、その中央に埋葬用の穴を掘って、頭を東南に向けた骨が仰向けの状態で見つかっている。この人物は、骨や歯の状況から15歳前後の男性で、計測の結果、身長は156.2センチだった。

 

 一方、土葬された人骨の方は、頭を東に向けて仰向けに体をのばしており、性別や年齢は現在調査中だという。

 

 これほど完全な状態で古墳時代の人骨が見つかるのは珍しく、鎌倉市では今後、古墳時代の生活文化を知るうえでの貴重な史料として引き続き研究を続けていく。

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