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2016年06月13日

ホワイトカラー「半数が不要」の衝撃

新井紀子教授が予見!ロボットで失業するのは「銀行の窓口」より「半沢直樹」 (2/2)

半数のホワイトカラーが消えてもおかしくない

 ロボットに「物理ができない」ことにはどんな意味があるのか。

「ロボットが人間と対話しながら問題を解決することができないということです。たとえば、ロボットは土砂災害の現場にドローンを飛ばすことはできます。でもそこに人が埋まっているかもしれないことが分かった時、人を傷付けないように瓦礫を撤去することをロボットに伝えて、それをロボットがきちんと実行できる日は、物理を解くことができたずっと先にあります。物理が解けない限り、その次元に到達することは絶対にできないのです」

 進研マーク模試における東ロボくんの5教科合計の平均偏差値は57.8で、国公立大では170大学中、33大学で合格可能性80%以上の結果を得たという。また私立大学も含めた全体では、750大学のうち、474大学で合格可能性80%以上だった。

「ロボットが東大に入るか入らないかは、労働市場にほとんど影響はありません。ホワイトカラーのボリュームゾーンは、この偏差値57.8の付近にあるからです。このホワイトカラーのボリュームゾーンをロボットで代替できるということは、半数のホワイトカラーが消えてもおかしくないことを意味します。つまりロボットを使えば、10人がかりでやっていた仕事を5人、あるいは3人でできるようになるのです」

銀行の窓口よりも、半沢直樹が代替されるほうが先

 ここ10〜20年で無くなる可能性がある職業としてよく言われるのは、電話でのセールスやデータ入力作業、証券会社の事務、スポーツの審判、銀行の窓口業務、車の運転業務などだ。

「でも私はこの中の銀行の窓口業務よりも、『半沢直樹』がロボットに代替されるほうが先だと考えている」

 その理由として新井氏は、彼の仕事が与信審査だという点を指摘する。

「与信審査は、お金を借りに来た企業の売上データとか、個人なら資産や職業などのデータを元に、どれだけの金額を、どんな条件で貸せばいいのかを判定する仕事です。その特徴は『確率的に当てればいい』ということ。1000人借りに来たなら、そのすべてで個々に利益を出す必要はなく、全体として利益が出ればいいのです。そういう確率的な最適化は、ロボットは本当に得意」

 これに対して、窓口業務はソリューションを提供する仕事で、ロボットでは難しいと新井氏は強調する。

「窓口には色々な人が来ます。中には、自分がどういうつもりで来たのかもよく分からない人さえいます。しかも一期一会です。そこで求められることは、最適化でも、分類作業でも、検索作業でもありません。来た人はこういうことを言っているのではないかと考えながら、ソリューションを提供することです。これはまさにドラえもんの世界で、今のところ、ロボットでできる見込みがまったくない」

 AIは人間の労働を代替する。その際に重要なことは、人間の仕事をロボットで置き換えた時、新たに人間には何をさせるかということをきちんと決めておくことだという。

「大企業なら従業員の数をギュッと絞って、利益率を高くするという方向性に動くでしょう。その時にもちろん人間でなければできない仕事もたくさんあります。しかし、その人たちをすべて大企業で抱えることはできません。そうするとフリーランスが増えます。仮に日本の働き手の50%がフリーランスになった時に、今の労働法ではカバーすることができないのです。それをどうするか。もうそんな話をしなければならないタイミングに来ています」

 既に米国や欧州では、ロボットでできることと、できないことをきちんと判別して、たとえば自動運転車なら、どういうレーンで、どんな条件で、どんなふうに動かすのか、またその際にはどんな法律にすべきかを議論するフェーズに入っているという。

「その中で、ドラえもんに投資しようと言っているのは日本だけ。これからはAIが分かっている人が、急いで法律について考え、社会制度と教育制度について考えなければなりません。そのフェーズにこの5年間で移れるか。それが問題です」

(取材・執筆:西山毅)

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