言うことを聞かない子どもに、どのように関わっていますか?
「おもちゃを片付けなさい!」と言っても知らんふりし、「もう遅いから寝なさい!」と言うと口答えが返ってくるといったことは、どの家庭でもよくある光景です。
たまにチョコッとわがままを言うくらいなら可愛いものですが、いつもいつも口答えされたり、忙しい時に反抗したりされると、ついイライラしてしまうものです。
また、生活リズムや物事の良し悪し、基本的なルールなどは、小さいうちからしっかり教えておきたいと考えているパパママはたくさんいるでしょう。
しかし、頭ごなしに叱るのは子どもに良い影響を与えませんし、かといって、優しく言い聞かせても聞いてくれません。
そのため、子供にどう関わって良いか分からず困り果て、子育てにストレスを感じているパパママが少なくありません。
そこで、この記事では、言うことを聞かない子供を叱らずにしつける方法について紹介します。
子どもが言うことを聞かない原因
子どもが言うことを聞かない原因は、子どもの性格・行動傾向に求められがちですが、実は、パパママの特性や子どもへの関わり方にも潜んでいるものです。
子どもが言うことを聞かない原因1:子どもの特性
- 落ち着きのなさ
- 注意力・集中力の低さ
- 周囲の刺激に対する反応性の高さ
- 言葉によるコミュニケーション能力の未熟さ
- 身体の成長発達の異常(目や耳が悪い、視覚と運動の協応に問題があるなど)
- 発達障害(ADHD(注意欠陥・多動性障害)、LD(学習障害)など)
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子どもが言うことを聞かない原因2:パパママの特性と子供への不適切な関わり方
- 言葉によるコミュニケーション能力の未熟さ
- 感情的になりやすい
- 身体の成長発達の異常
- 大人の発達障害
- 子どもの話をきちんと聞かない
- 子どもよりも自分のペースを優先する
- 発言や態度が一貫しない
- 頭ごなしに叱る、叩く
- 子どもの気持ちや意見を否定する
- 褒めることが少ない
子どもが言うことを聞かない原因3:親子の関係性の悪循環
親子関係は、お互いの行動や態度に影響を受け合いながら成り立っているものです。
そのため、問題行動を起こす子どもの特性と、パパママの特性や子どもへの不適切な関わり方が重なると、親子の関係性に悪い循環が生じてしまい、子どもはますます言うことを聞かなくなります。
例えば、次のような場合が考えられます。
- 資質的に落ち着きのない子どもが不用意に物を壊す
- 気の短いパパママが、子どもの言い分を聞かず頭ごなしに叱りつける
- 子どもは、強く叱られたことで強いショックを受ける一方で、叱られた内容は頭に入らず、落ち着きのなさから別の物を壊してしまう。
- パパママは、「どうして注意しても同じ失敗をするのだろう。」と悩むと同時に、子どもに対する不安や呆れが積もり、さらに厳しく叱りつける
- 子どもは、「ダメな子なんだ」と落ち込み、また、言い分を聞いてくれないパパママに対する不満を募らせるが、やはり叱られた内容は頭に入っていない
- 1.~5.を繰り返すうちに親子の関係性が悪くなって、子どもが言うことを聞かない上に問題行動も継続する
言うことを聞かない子供を叱らずしつける方法
言うことを聞かない子供を叱らずしつけるには、まずはパパママが冷静になり、落ち着いて子どもに関わることから始める必要があります。
子どもを変えるためには、パパママがまず変わることが大切です。
1 叱る前に一呼吸置く
子どもが好ましくない行動や許されない行動をしたら、「どうしてそんなことをするの!」と声を荒げる前に深呼吸しましょう。
そして、子どもの行動や周囲の状況を冷静に確認してください。
子どもを叱らずにしつけるには、パパママが気持ちを落ち着けて冷静でいることが必要不可欠です。
2 子どもに注意を向けさせ、落ち着いて言いたいことを伝える
話をする時は、子どものそばに寄るか、子どもをそばに来させます。
それから、子どもの目を見て、子どもが注意を向けているのを確認してから話し始めます。
話す時は、トーンを抑えながらもはっきりした口調を意識しましょう。
話す速度も重要です。
早すぎると子どもが聞き取れません。
子どもが素直に言うことを聞いたら、「言うことを聞けたこと」を褒めてあげます。
言うことを聞かず、口答えや言い訳をする場合は、次のステップに進みます。
3 子どもが言うことを聞くまで、同じことを言い続ける
子どもが言うことを聞かない時は、言うことを聞くまで同じ注意や指導を繰り返し伝えてみましょう。
ブロークンレコードテクニック(Broken Record Technique)という、理屈で説得するのではなく、「ダメなことはダメ」だと伝えるテクニックです。
単純ではありますが、多くの子どもに有効な方法であることが確認されています。
パパママが気持ちを落ち着けた状態で、同じ注意や指導をはっきりした口調で繰り返し、口答えや言い訳が通用しないことを態度で示しましょう。
子どもが言うことを聞いたら、「言うことを聞けたこと」をすぐに褒めてあげましょう。
言うことを聞かず、イライラして攻撃的な言動を取るようなら、ブロークンレコードテクニックは中止してください。
しつこく続けると、余計に子どもの反発を招いてしまいます。
4 褒めるのを待つ
子どもが好ましくない行動をしている時は相手にせず、好ましい行動をするのを待つという方法です。
途中で甘えを見せてしまうと効果がないので、心を鬼にして待ちましょう。
褒めるのを待つというテクニックは、別の記事でも詳しく紹介しようと思います。
5 ペナルティを告げた上でイエローカードを出す
イエローカードを出すとは、ペナルティなく済む限界を子供に伝えることです。
イエローカードを出す時は、ペナルティの内容を教えます。
例えば、「1分以内にゲームを止めないと、ゲーム機を片付けてしまうよ。」と伝え、ゲームの終了を促します。
ポイントは、①ラストチャンスを与える(上の例だと「1分以内にゲームを止めればペナルティを課さない」)、②ペナルティを具体的に伝える(上の例だと「ゲーム機を片付けてしまう」)ことです。
ちなみに、イエローカードを出す前に、行動を改めることによるメリットを伝えておく(上の例だと「ちゃんと止められたら明日もゲームできるのになあ。」と伝える)ことも有効です。
6 レッドカードを出す
イエローカードを出してもダメな時は、レッドカードを出す(=子供にペナルティを与える)ことになります。
ペナルティは、イエローカードを出す時に伝えたことだけを実行します。
ポイントは、①「子ども自身が招いた結果で、誰かのせいではないし、パパママが嫌がらせをしているのでもない。」と分からせること、②ペナルティの内容は即効性のあるものにすること、③感情を出さずに淡々と行うことです。
レッドカードを出した後は、叱ったり慰めたりせず、子どもが言い訳しても聞き入れないようにしましょう。
一時的に気まずい雰囲気になりますが、途中でパパママが情けを出してしまうとレッドカードの効果が薄れてしまうので、心を鬼にして我慢しましょう。
通常、発達障害があったり、特性に著しい偏りがあったりしない限り、レッドカードまで出さないと行動が変わらないことはあまりありません。
しかし、万が一、必要になった時に備え、手順は理解しておくことをおすすめします。
まとめ
言うことを聞かない子供を叱らずしつける方法は、頭ごなしに怒ったり甘やかしたりするのではなく、子どもの行動を変えるのに必要なしつけを、親が落ち着いて行うテクニックです。
こうした子供への関わり方は、発達障害を持つ子どもの親を対象としたペアレントトレーニングとして注目を浴びているものですが、発達障害を持たない子どものしつけにも十分活用できるので、この記事で紹介しました。
ペアレントトレーニングでは、トークン(ご褒美)や無視(褒めるのを待つ)といった独特の方法がたくさんあるので、別の記事で紹介できたら良いなと思っています。