自民党の下村博文総裁特別補佐(62)が12日、舛添要一東京都知事(67)への不信任案が都議会に提出された場合、自民党が賛成に回る可能性を指摘した。自民党東京都連会長代行でもある下村氏は「舛添氏の答弁次第だ。今までと同じトーンの答弁なら、納得できない」と分析。舛添氏は13日に都議会総務委員会の集中審議に出席する。
舛添氏は公私混同疑惑で火だるまになっている。総務委員会は質問にまとめて答えるやり方ではなく、一問一答形式で行われる。これまでのように答えっぱなしでは逃げ切れない。答弁の内容次第では調査権限のある百条委員会の開催もあり得る。また下村氏の指摘するように不信任案への賛否に影響してくる。
これまで自民党としては舛添氏に「辞めろ」とは言いづらかった。
前職で作家の猪瀬直樹氏(69)が医療法人徳洲会から5000万円を受領し返金した問題をめぐって2013年12月に辞職。舛添氏は14年2月の都知事選に立候補して当選した。
「国会議員を辞職した後の舛添氏は、新聞社や出版社を回りながら仕事をもらい執筆活動をしていた。某大学で国際政治学教授の話も持ち上がっていました。そんな時、猪瀬さんが政治とカネの問題を起こした。舛添氏が舞い上がっていたことを覚えています」と当時を知る関係者は振り返った。
舛添氏は自民党を除籍処分で離党した身にありながら当時、幹事長だった石破茂地方創生担当相(59)や東京都議会自民党のドンに頭を下げて推薦を取り付けた。
自民党関係者は「厚顔無恥とは舛添氏のようなタイプを言うんでしょうね。連立を組む公明党に支援を要請するのは理解できました。ところが、野党支持の団体にまで支援を要請していた。後でビックリです。当時、自民党は“ポスト猪瀬”がいませんでしたから、舛添氏に足元を見られたのかもしれない」と肩を落として話した。
自民党は都知事選で舛添氏を推していた上、今は“ポスト舛添”が見つからないので、強く辞任を要求できずにいた。しかし参院選にマイナスになることが一番の心配の種で、それどころではなくなってきた。なかでも定数が1つ増えて6議席となった東京選挙区はかなりピンチになっている。
政府関係者は「自民党候補のうち中川雅治氏は組織票でなんとかなる。もう1人は浮動票で取らないといけないので、有名人が良かったが、乙武洋匡氏は不倫で駄目になってしまった。そこで候補者探しが迷走してしまったのです」。ようやく元ビーチバレー五輪代表の朝日健太郎氏(40)の擁立にこぎつけたところだった。
「正直、インパクトに欠けるのが実情です。しかも、東京には田中康夫氏や高樹沙耶氏など有名人が乱立している。舛添スキャンダルの影響で、まさか東京で1議席ということになりかねません」(前出の政府関係者)。政権与党が定数6で1議席しか取れないとなれば、赤っ恥だ。
2議席取るために、不信任案には賛成して有権者にアピールすることが大事だが懸念もある。それは不信任案が可決した場合、舛添氏はすんなり辞めず、議会を解散させかねないことだ。自民党関係者は「どの都議も参院選で自分たちの支持者に応援を頼みます。その上、自分たちの選挙も手伝ってもらうとなると支持者の負担が大きく、嫌がられる。解散はしてほしくないのが本音でしょう」と明かす。自民党とともに与党の公明党も、今年の都議選は避けたいところだ。
野党関係者は「すでに舛添氏はレームダックで、失うものは何もない。これだけ税金を食い物にしてきた人だから、選挙にかかるコストを気にする人じゃないよ」と指摘。現時点で辞任となれば舛添氏の政治生命は絶たれる。これほど都民だけではなく国民の不興を買えば、橋下徹前大阪市長(46)や東国原英夫元宮崎県知事(58)のように、タレント復帰も難しい。
ネット上では「ねずみ男」とやゆされる舛添氏だが、窮鼠ネコをかむという展開もあり得る。
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