おすすめのシリーズ『東京バンドワゴン』順番・感想
こういうブログを書かせていただいていますので、知人から、
「おすすめの小説教えて」
という超ザックリとしたリクエストを受けることがあります。
私はそんな時、決まってある小説を紹介するのです。
それが、「東京バンドワゴンシリーズ」。
2013年に亀梨和也さん主演でテレビドラマ化されたことでも話題になりました。
ドラマも良かったですが、個人的には原作小説をおすすめします。
だって、現在11巻も出ているんですよ。
それだけ長く堀田家と一緒にいれるってことです。
笑って、泣けて、謎解きがあって。
「家族」という普遍のテーマを扱った、長く続いているシリーズなのです。
今日はそんな、今イチオシのシリーズを、あらすじと共に、1巻から順にご紹介していきますね。
東京バンドワゴンのあらすじ・概要
東京の下町にある古本屋「東京バンドワゴン」を営む家族、堀田一家の物語です。
堀田家は家長の勘一(かんいち)約80歳に、長男の我南人(がなと)。
我南人の子供である藍子、紺、青。
紺の嫁で亜美、その息子で研人に、藍子の娘の花陽。
4世代総勢8人というなかなかの大家族になります。
明治から続く東京バンドワゴンの店内には、勘一の父、草平の書いた家訓が飾られています。
「文化文明に関する些事諸問題なら、如何なる事でも万事解決」
この家訓のおかげか、堀田家には様々な相談やトラブルが舞い込んできます。
しかもやってくるトラブルは、なぜかいつも謎だらけ。
今回も家族の力を合わせて、万事解決となるのでしょうか。
東京バンドワゴンシリーズの魅力
このシリーズの魅力は、大きく分けて2つ。
まずはなんといっても堀田家の暖かい雰囲気です。
その人情に触れて、常連さんやトラブルを抱えた人たちも影響されていきます。
もう1つは、特徴のある優しい語り部。
実はこの物語、亡くなった勘一の妻、サチの視点から書かれています。
つまり、幽霊視点。
どういうわけか、亡くなった後も家族の住む家に留まっているサチ。
このサチさんの柔らかくて優しい語り口と、家族への愛にあふれた語り部が、物語を更に引き立てます。
それでは、シリーズ全作、順番に見ていくとしましょう。
1.東京バンドワゴン
シリーズ第1弾。
春~冬にかけて、堀田家の1年を描いた1冊。
春・百科事典はなぜ消える
夏・お嫁さんはなぜ泣くの
秋・犬とネズミとブローチと
冬・愛こそすべて
の、4本だてです。
中でも夏の、「お嫁さんはなぜ泣くの」はシリーズを通して鍵となる人物達のストーリー。
堀田家を知れば知るほど、ぐっとくること間違いなし!!
過去に書いた記事がありますので、詳しくはそちらもご覧ください。
東京の下町、明治18年から続く老舗古本屋<東京バンドワゴン>を営むのは4世代の大家族。語り手は、堀田サチ(76歳で故人)。天国から堀田家を見守る優しいおばあちゃん。古本屋3代め店主の堀田勘一(79歳)を大黒柱として、金髪ロッカーの不良息子・我南人(がなと・60歳!)や、孫のおっとり藍子とフリーライターの紺、女性関係のトラブルが絶えない青、紺のお嫁さんで併設するカフェを切り盛りする亜美、と個性の強いキャラクター揃い。そしてひ孫たち…と、堀田家一家は、いつも賑やか。
シリーズ公式サイトより引用
2.シー・ラブズ・ユー
*これから先、重大なネタバレを含む可能性がありますので、
必ず前作まで読んだ状態にて閲覧ください
前作「東京バンドワゴン」の「冬・愛こそすべて」の数日後から始まる第2作目。
冬・百科事典は赤ちゃんとともに
春・恋の沙汰も神頼み
夏・幽霊の正体見たり夏休み
秋・SHE LOVES YOU
の4本が収録されています。
花陽の進学。意外な人との再会。新しい家族の誕生と、今年も忙しい堀田家。
特におすすめのストーリーは、「夏・幽霊の正体見たり夏休み」。
勘一の心のつかえが1つ取れる、素敵なお話です。
古本屋<東京バンドワゴン>のお店に、赤ちゃんが置き去りにされる騒動や、売った本を1冊ずつ買い戻していくおじいさんの謎、幽霊を見る小学生…。(中略)隣に住むマードックさんと、おっとりとした藍子のじれったい関係も目が離せない第2弾。
シリーズ公式サイトより引用
3.スタンド・バイ・ミー
秋・あなたのおなまえなんてぇの
冬・冬に稲妻春遠からじ
春・研人とメリーちゃんの羊が笑う
夏・スタンド・バイ・ミー
の、4つが入った1冊。
前作、前々作に比べると、少し重めの話が多い第3弾です。
「冬・冬に稲妻春遠からじ」では、堀田家行きつけの「あの店」の板前の哀しい過去と新しい愛を描きます。
読んでいて苦しい、哀しいところも多いです。
しかしそこは東京バンドワゴンシリーズ。
最後は笑って大団円。
幸せな気持ちにしてくれます。
<ほったんこん ひとごろし>本にクレヨンで書かれた謎のこぼばをきっかけに、大騒動。まさか、紺が人殺し? 堀田家の一員の「意外な恋」の話もあり、あの昭和のスターが愛のために奔走する?
シリーズ公式サイトより引用
集英社 「東京バンドワゴン」シリーズ『スタンド・バイ・ミー』
4.マイ・ブルー・ヘブン
今作は、いつもとちょっと趣向を変えた1作。
なんと、勘一とサチが出会うところが描かれる、過去の話になります。
複雑なサチの生まれに、勘一の両親、サチを守る為に集まった仲間たちなど、
存在を臭わせながらも語られなかった人物が勢ぞろい!!
シリーズ唯一の長編で、ぐいぐい読ませられてしまいます。
ティッシュのご用意を忘れずに。
あることで身を追われることになった華族の娘、咲智子を、がらっぱちな青年・勘一がかくまうことに。貿易商を営む、青い目をした若き美男子・ジョーや、日本人離れした艶やかさと歌唱力をもつジャズシンガー・マリア。着流し姿の年齢不詳、元陸軍情報部の軍人・和泉十朗。(中略)堀田家の一員として日々を送る中、サチの両親が軟禁されている館をつきとめた一同は、ある作戦をもとに潜入する…。
シリーズ公式サイトより引用
集英社 「東京バンドワゴン」シリーズ『マイ・ブルー・ヘブン』
5.オール・マイ・ラビング
夏・あなたの笑窪は縁ふたつ
秋・さよなら三角また会う日まで
冬・背で泣いてる師走かな
春・オール・マイ・ラビング
第3弾のスタンド・バイ・ミーから繋がる夏から春、4つの物語。
堀田家、変化の年とも言えるかもしれません。
隣に出来た藤島ハウス、花陽のロマンス(?)、紺の恩師も登場。
我南人にも重大な出来事が起こって……。
ページが増える百物語の和とじ本や、店の前に置き去りにされた「捨て猫」ならぬ、猫の本など…次々と不可思議な事件が起きる。意外なあの人の一世一代の恋や、紺と恩師の知られざる過去、イケメン社長・藤島の新たな決意など、堀田家とその仲間たちのドラマからも目が離せない!
シリーズ公式サイトより引用
集英社 「東京バンドワゴン」シリーズ『オール・マイ・ラビング』
お知らせ
どうも長くなりすぎる予感がしたので、記事をわけることにしました。
続きは明日更新予定。
みなさんが少しでも、「東京バンドワゴン」を、「小路幸也さん」を、「読書」を、
好きになっていただければ、これ以上嬉しい事はありません。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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