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せまいコックピットのなか

ただただゲームが好きです

ちょっと吹き出してほっとした眠りにつくために読む「高台家の人々」

漫画

低気圧のもたらす陰惨な空気にもだえるみなさん

 こんにちは。入梅してしばらく梅雨もなりを潜めていたが昨日から低気圧が暴れ始め本日はざあざあ降りの関東である(たぶん)。
 頭痛、肩こり、腰痛、膝痛、胃痛、歯痛、エトセトラエトセトラ。憂鬱な気分も、家庭内の不協和も、なくならないいじめも、見つからない運命の人も、すべては低気圧のせい、梅雨のせいである。もう少しの辛抱である。もう少し我慢すれば、痛みは晴れ、気分は爽快、家庭は順調に運営され、人類皆仲良くできるし、運命の人はあっさりとあなたの隣にいるだろう。梅雨さえ開ければすべてはうまくいくのである。

 しかしながらわたしたちは、この梅雨をやりすごさなければならない。
 耐えがたい痛みに耐え、忍びがたい気怠さを忍び、さまざまな環境や状況の波についてはじっともぐって去っていくのを待たなければならない。
 息がつまる。

 そんな息がつまる日常に、一息つかせてくれる漫画を一つ。


高台家の人々森本梢子

 人の心が読める高台家の見目麗しい三兄弟。誰もが憧れる眉目秀麗の長男光正が選んだのは、ユニークな妄想力を持つ地味目OL平野木絵だった。
 そんなテレパス一家の高台家の人々と木絵の妄想力が織りなすちょっとシュールなラブコメディ。
 

高台家の人々のおすすめポイントは3つ

1 展開が早い

 一つの話題が1話、長くても2話で完結する。そのため先が気になってやきもきするということがない。
 夜眠る前に余計な認知資源を使わなくて済むし、きりのよいところまで読むのが楽なので重宝すること間違いない。

2 木絵の妄想がバカバカしくて気がぬける

 木絵は嫌なことや辛いこと、怒りたいことがある場合に、バカバカしい妄想をすることで乗り越えるタイプの強さを持っている。この妄想が実にバカバカしく、ときにシュールで笑える。
 たとえば社内に恋のライバルが出現し、自分が光正から振られたらもう自分には何も残らないと悲しみにくれる木絵の妄想がこちらである。
 
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 それを見かけて頭を覗いてしまった光正もびっくり。

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 最終的には行き着くところまで行く。
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3 基本的には前向き

 木絵は控えめであまり自己主張をしないしすぐに自信をなくしがちではあるが、作中の光正の言葉を借りれば「楽しくて面白くて優しいことを空想することで 一人で自分の中でいろんなことを乗り越えている」
 そのため本作中においても基本的には後ろ向きでうじうじした描写は少なく、木絵がそうした気持ちになった場合にはシュールでバカバカしくて面白い妄想シーンが差し込まれるため読者は吹き出すことになる。
 現実社会で疲れたわたしたちが主人公たちの苦悩まで背負ってしまうような作品ではなく、自分たちのうじうじぐじぐじした解決のない現実社会の本当の悩みまで吹き飛ばすことができる作品なのである。

4 嫌な奴が(ほとんど)一人も出てこない

 作中には悪意のある人間というのが出てこない。恋のライバルや少し意地悪なキャラも、愛嬌のある人間味あふれるキャラクターに描かれている。少し嫌なキャラクターに描かれていても、テレパス視点で頭の中まで描写され、そのコミカルさが勝る。
 このことは、現実社会の悪意に疲れ果てたわたしたちが漫画の中でくらいそれらの悪意から解き放たれることに寄与する。心乱されることなく、肯定的な気持ちになることができる。

疲れた果てた夜に1話読んで寝てみてはいかが

 世界が楽しい妄想に満ち、笑いが溢れ、ほっとした気持ちになって眠ることができる。
 おすすめです。