ボクシング元世界ヘビー級チャンピオンで3日に死去したムハマド・アリ氏の追悼式が10日午後(日本時間11日未明)、出身地の米南部ケンタッキー州ルイビルで営まれた。各地から約1万5000人が参列し、リングの外でも人種差別や病と闘い続けた「英雄」との別れを惜しんだ。

 ビル・クリントン元大統領は弔辞で「信念を貫いた真の自由人だった」とたたえた。在職中の96年アトランタ五輪の開会式で、パーキンソン病を患ったアリ氏が懸命に聖火をともしたのを見て「涙が出た」とのエピソードを紹介した。

 差別など米国社会の闇に挑み、常に少数派に寄り添ったカリスマ的なアリ氏を慕い、多くの著名人も参集。「全ての人を受け入れたい」とのアリ氏の生前の希望に沿って、自身が信奉するイスラム教のほかユダヤ教、仏教、キリスト教の宗教関係者や先住民も出席し、祈りをささげた。

 追悼式に先立ち10日午前、アリ氏のひつぎを載せた車列が市街地を巡回し、AP通信によると、推定10万人の市民が沿道で最後の別れを告げた。