翁長氏の審尋不採用、21日までに決定書 辺野古係争委

第8回の審査会合後に記者会見する国地方係争処理委員会の小早川光郎委員長=10日、総務省

第8回の審査会合後に記者会見する国地方係争処理委員会の小早川光郎委員長=10日、総務省

 【東京】名護市辺野古の新基地建設を巡り、翁長雄志知事による埋め立て承認取り消しに対する国の是正指示の適法性を審査する国地方係争処理委員会(小早川光郎委員長)は10日、総務省内で第8回会合を開き、沖縄県側から申し出のあった翁長知事の審尋と稲嶺進名護市長ら参考人8人の陳述のいずれも採用しないことを決めた。また、結論の方向性は固まったとして、今後の会合を経て期限の21日までに双方に決定書を届けるとの見通しを示した。

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 次回会合の日程や、結論を固めるまでに開催する会合の回数は未定とした。

 小早川氏は、知事の審尋と参考人陳述を採用しない理由について「当事者双方から相当量の主張書面と陳述書などさまざまな証拠が提出されている。結論を出すために知事から申し立てられている証拠調べをする必要は認められない」と説明。その上で、参考人それぞれから提出された陳述書を証拠採用するとした。

 また、審査の進展状況については「結論が出せるだろうとの見通しが立った」との考えを示した。ただ、議論の詳細については「合議の内容なので答えられない」とした。

 委員間での認識の相違があるかについても明かさなかった。

■「大変残念だ」翁長知事

 国地方係争処理委員会が10日の会合で翁長雄志知事の審尋や稲嶺進名護市長の参考人陳述を認めなかったことに、翁長知事は「大変残念だ」とのコメントを発表した。

 知事は「私の意見陳述や提出した書面で沖縄県の主張をしっかりと判断していただきたい」と係争委へ求めた。

■「審査尽くして」参考人

 国地方係争処理委員会(係争委)は10日、県側が求めていた参考人8人の陳述を全て不採用とした。県側が提出した陳述書は証拠として採用されたが、参考人からは決定を残念がる声や、埋め立て承認が環境に与える影響に対する審査を尽くしてほしいとの意見が上がった。

 琉球大の渡嘉敷健准教授(環境工学・騒音)は「辺野古に移設したら、静寂な生活環境が悪影響を受けるのは必至」と語る。陳述書には、あらかたの主張は書いたとしながらも「自分の訴えを委員がどう受け止めるのか、尋問に臨んで確かめたかった」と残念がった。

 県環境影響評価審査会長の宮城邦治さんは「係争委の審査は、翁長雄志知事の承認取り消し処分の適法性を巡る法的議論に偏っているように思える」と指摘。「仲井真弘多前知事の埋め立て承認を巡る判断過程で、生態系に与える影響は払拭(ふっしょく)されたのか。係争委は議論を尽くしてほしい」と注文を付けた。

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 日米両政府は96年、宜野湾市の米軍普天間飛行場移設返還で合意、99年に名護市辺野古の沖合での代替滑走路建設を決めた。2006年、移設位置を陸側へ寄せ、岬の上でV字形に滑走路2本を建設する計画に変更された。しかしオスプレイの訓練激化や、ステルス最新鋭戦闘機F35の運用、軍港機能整備を米側が想定していることも判明。実態は代替施設ではなく機能強化した新基地の建設であり、米軍基地が沖縄に長く固定化される恐れがあるとして名護市や市民団体が強く反発している。

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