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「すべて自動化なんて大嘘だ!」と元従業員が暴露! 人工知能サービスの裏側では「生身の人間」が必死に働いていた…
PHOTO: LOLOSTOCK
「人工知能があなたの雑務を代わりにやってくれます!」
そんな売り文句のAIアシスタント・サービスが米国で人気を集めている。
たとえば、X.ai社が提供する人工知能「エイミィ・イングラム」は、ユーザーの代わりに会議のスケジュールを設定したり、アポ取りのメールを送ったりしてくれる。その精度は高く、まるでリアルな人間とやりとりしているようだ、と驚く人が多いという。
2014年のサービス開始以降、エイミィの人間らしい対応と礼儀正しさが絶賛され、「人間よりもこの作業には向いている」とSNSに書き込んだユーザーもいるほどだ。
だが、それもそのはず、“彼女”の背後には仕事の内容を確認する「AIトレーナー」という肩書きの生身の人間が常についていたのである。
同社で昨年10月までAIトレーナーを務めていたウィリー・カルヴィンは「ブルームバーグ・ビジネスウィーク」誌の取材に対し、「同じことをひたすら繰り返す仕事と、どうしたって提供できないものを求めてくる人に対応する仕事ばかりでした」と明かしている。
X.ai社は、メールの「明日」という言葉が「火曜日」を指すことまでAIが判別できると謳っている。だが、実際にはその段階まで辿り着いていないようだ。
そのため、AIトレーナーたちは朝から晩までユーザーから届くほぼすべてのメールを読み、エイミィが下手な返事をしないように目を光らせている。カルヴィンはコンピュータの前に12時間張り付いていたこともあったと明かす。
同社だけではない。ニューヨークでコンシェルジュ・サービスを展開するゴー・バトラー社も、人工知能の背後に生身の人間を潜ませていたことが判明している。ある従業員によれば、完全に自動化されていたのは宣伝用のメッセージだけだったという。
同社のサービスは24時間対応しているため、「ヒーロー」と呼ばれるAIトレーナーは3交代のシフトで勤務している。月に1週間ほどは深夜の12時から明け方の8時まで夜勤に入るという。
人工知能に向けて送ったと思っていたメッセージが誰かに読まれていたとすれば、敬遠する人も少なくないだろう。X.ai社のAIトレーナーによれば、人工知能であるエイミィに性的な要求をするユーザーも少なくなかったそうだ。
今後、こうした会社が目指すべき方向性は二つにわかれると考えられている。一つは、「来週の木曜とは23日のことですか?」というように、AIが理解できなかった内容をユーザーに直接確認し、少しずつ改善していくという方針だ。
もう一つは、利用料金を少し高く設定し、人間が関わっていることを明かした上で、より質のいいサービスを提供する方法だという。