トップ > 岐阜 > 5月19日の記事一覧 > 記事
岐阜昭和30年前後の映画看板 岐阜・ロイヤル劇場でパネル展
岐阜市の柳ケ瀬商店街にある映画館「ロイヤル劇場」に、昭和三十年前後に近隣の映画館に掲げられた看板を写した写真パネルがお目見えした。「手描きの映画看板の黄金期が分かる貴重な資料」として、ロビーに常設し、無料で公開している。 写真は、岐阜市大福町の看板会社「たかはし看板」(現・美工社)の職人で故高橋忠さん(一九三〇〜九五年)が、自分や同業者が手がけた映画看板を記録するため撮影した。保存していた美工社が三十二点を今年三月、市内のイベントに出展するためパネル化。昭和の名作映画を常時上映している同劇場が譲り受けた。昭和二十九〜三十五年の写真がA3判に拡大されている。 ゴジラやモスラとともに東宝三大怪獣と称される「ラドン」の映画看板の上には、大きなはりぼてがあって迫力満点。映画「風流交番日記」の看板は、建物の一部を使って派出所に見立て、その前に警察官と子どもの姿を描いたパネルを立て、手が込んでいる。 「父は耳や口に筆を差して写真を見ながら黙々と描き、職人かたぎだった」。高橋さんの次女で、美工社を手伝う竹林幸子さん(53)は、亡き父に思いをはせる。「映画が大好きだったので、全盛期の手描き看板を見てもらえてうれしいのでは」 劇場を運営する岐阜土地興業総支配人の磯谷貴彦さん(61)によると、昭和三十年代の柳ケ瀬には映画館が十二軒あったという。「一週間ごとに上映作品が入れ替わり、衝動的にみてもらうためにも、目を引く看板が必要だった」と指摘する。 磯谷さんは、写真の「マニアックな」見方も紹介する。例えば、看板に書いてある「総天然色」とは、モノクロではなくカラー映像という意味。映画館のチケット売り場にある二つの時計は、上演開始と終了時刻を示している。入場料は大人百三十円、子ども五十五円−。写真からは、当時の生活感や活気も伝わってくる。 (督あかり) PR情報
|
|
Search | 検索