人手不足?IT技術者が足りない日本の現状について考える

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it技術者不足

ITの発達は、一人一台は当たり前となった携帯電話(スマートフォン)やPCによって全世界へ瞬時の通信を可能にしました。

また、それによって人類が享受した利便性は挙げればキリがありません。もちろんそればかりにとどまらず、ITは、流通業や製造業でも驚くべき効率化と生産性の向上と技術革新をもたらしました。

多くの作業工程が自動化され、今では人気のない工場さえ存在しています。中には、人間の職人技とも思える技術を忠実に再現している機械もあります。

この機械と人間との違いは当然ながら生産能力です。だからこそ大量生産、大量供給が可能なっているのです。工場の様子ひとつを取っても技術革新は驚くべき速度で進んでいることが分かります。

しかし、ITによってもたらされた効率化と技術革新によって、消費者が安価に商品を入手できるようになったと同時に、多くの雇用が一気に消失したことも事実です。

本来、人の生活を便利に、豊かにするはずだったITや技術革新が、多くの人の仕事を奪ってしまう「技術革新と雇用削減のジレンマ」は、非情なようですが時代の流れと言えるのかも知れません。

100年前イギリスに300万頭以上いたと言われる労働馬が、機械化や自動車の普及によって仕事を奪われたのと通じています。

このように、人類のライフスタイルから価値観まで劇的に変えていったIT革命は、普及期を終え様々な分野で成熟期を迎えつつあります。

ここ数年のモバイル端末の発達は、時間や場所に捉われないビジネスの遂行を可能にし、遠からずオフィスワークの概念を大きく変えることになることでしょう。そして、さらに2016年には、IoT(モノのインターネット)が黎明期を迎えるとされ、IT業界は更なる成長を遂げようとしています。

しかし、需要が増大し続けるIT業界にも、深刻な技術者不足の状態に陥りつつあります。人類の生活をより便利にしたものの、多くの事務職員や工場労働者の仕事を奪ってしまったIT業界が人手不足とは何とも皮肉な話です。

IT技術者の不足は複合的な要因が絡み合った結果

人口減少局面に入った日本の労働者の絶対数が減っている

IT技術者の不足が深刻な事態となっているのは、複合的な要因が考えられます。まず第一は、人口減少局面に入った日本の、「働き手の人口が着実に減っている」事実は見逃せません。

「団塊の世代」が引退し、新卒世代の人口は、現在主力の「団塊ジュニア世代」と比べその約6割に過ぎません。

IT業界は成長産業ですから、人材を喉から手が出るほど渇望していますが、そもそもその絶対数が減っているのが現実であるために、なおさら「人材不足」な感が増幅しているものと考えられます。

少なくとも東京オリンピック開催にともう建設やインフラ整備の需要で2020年までは安泰であろうと言われる建設業界も今深刻な人手不足に悩んでいるそうです。労働のなり手不足は成長産業こそ受ける打撃は深刻なようです。

IT企業は「新3K職場」?業界全体の印象が悪くなっている

かつて、バブル全盛の時代に「きつい」「汚い」「給料が安い」職場のことを3K職場と呼び、特に日本の高度成長を下支えしたブルーカラー職業が忌み嫌われた風潮がありました。

バブルが弾けるとこうした声はなりを潜めるようになりましたが、現在ではIT業界に「きつい」「帰れない」「給料が安い」の新3K職場のイメージが定着しつつあります。

もちろん新3K職場という言葉は、不名誉なことこの上ありません。IT業界の名誉のために言えば、実際の統計では、システムエンジニアの年収は「まずます高い」と言える水準ですし、総じて残業時間も長い訳ではありません。

(「年収ラボ」より)しかしながら、IT業界は、血気盛んな起業家が群雄割拠する世界、ベンチャースピリット溢れる新興企業が「喰うか喰われるか」の戦いを繰り広げています。

「喰うか喰われるか」の当落線上にいるIT企業であれば、悠長なことは言ってられません。文字通り「新3K職場」に違いありません。

こういった生存競争を生き残れるのはほんの一部ですから、大部分は身を削る努力も報われずに敗れ去っていきます。そこで働いていた人からすれば、思い出したくもないブラック企業として記憶に深く刻まれるでしょう。

ただ、こうした評判は皮肉にもITの発達によって尾ひれがついてあっという間に拡散されていくものです。

最近の学生は、「ブラック企業」という言葉に非常に敏感になっていますので、それが、IT企業が敬遠される大きな原因となっていることは否定できません。

IT技術者が「報われない仕事」であることが分かってきた

IT技術は、ムダを省き効率性と生産性を高める現状においては人類最高のテクノロジーです。しかし、ネットが普及し、モバイル端末やIoTの発達によって時間や場所を選ばない仕事ができるはずなのに、

会社のデスクに拘束されるワークスタイルが根強く残っています。数名しか発言さえしない会議にわざわざ時間と交通費をかけて一堂に会している会社も意外と多いのだそうです。

もしテレビ会議にしたらどれだけの費用が削減され、どれだけの時間が有効に使えるか、伝達事項があれば、重要度「高」でメール一本送っておけばどれだけの会議自体が削減できるかなどを考えたら、IT技術者ならその無駄を静観できないはずです。

会議体で一堂に会することで組織一丸のレベルを高めるというごもっともな言説も聞かれますが、少なくとも効率性と生産性を重視するIT技術者にはなじまないのです。優秀なIT技術者を外資系企業に奪われてしまうのもこうした日本的なワークスタイルにあるのかも知れません。

また、IT業界にも、高額な案件は大企業が独占し、「下請け・孫請け」といった建設業界や広告代理店のような構図が成り立っていることも、優秀なIT技術者に見切りをつけられる原因とも言われています。

もともと大きな金額が動く案件でも、その多くを大企業が独占し下請け・孫請けには幾ばくも入ってこないということが少なくないそうです。

技術者であれば仕事の相場は把握しています。しかし、手元に入る招集がスズメの涙ほどであれば、やる気をなくすのは当然です。

現在、建設業界ではマンションの杭打ち偽装が大きな問題になってますが、この問題を生み出したのは、下請け・孫請け構図が無関係ではないと思われます。

優秀なIT技術者を確保し続け、かつ新たな担い手を育成するには、この「報われない」構図にメスを入れなければなりません。

ある調査によるとシステムエンジニア・プログラマーの平均給与は日本とアメリカでは物価の差を差し引いても約2倍もの差がついているそうです。

概してITエンジニアの地位が高く、大企業による寡占状態に歯止めがかかっているからこそ、GoogleやApple、Microsoftのようにベンチャーから世界的な規模にまで成長する企業が現れるのだと思います。

このことからもIT技術者の地位向上は急がれる課題となっています。

最後に確認して欲しいポイント

IT技術者の不足を深刻な問題として捉え、経済産業省は、アジア各国でITを専攻した学生を積極的に日本で受け入れる準備を始めています。

グローバル化、ボーダーレス化もITがもたらす働き方のカタチではありますが、国内でも人口減による不足は補うのは難しいまでも、多くの改善の余地が残されているはずです。

日本人でさえ「ブラック企業」と敬遠する仕事を、外国人に担わせるのはいかがなものでしょうか。実は「報われない職場」であると気付いた瞬間に見切りをつけられるのが関の山です。まずは、内側からの改革、改善が先決なのです。

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