「行わせない強い意思で」 ヘイトスピーチの県施設利用で知事

神奈川県庁

 黒岩祐治知事は9日、ヘイトスピーチ(差別扇動表現)を行う可能性が高い団体から県の施設の利用申請が出された場合、「ヘイトスピーチを絶対に行わせないという強い意思を持って具体的な対応を進める」とし、不許可も視野に対応する考えを明らかにした。同日の県議会本会議で、自民党の石川巧氏(三浦市)の一般質問に答えた。

 本会議後、知事は記者団に「判断が難しい点は表現の自由との関係」と話し、「一個一個、対応する」と慎重に判断する考えを示した。県人権男女共同参画課によると、県の施設でいわゆるヘイトスピーチと呼ばれる、差別扇動行為が公然と行われたケースは過去にないとみられる。

 県内では今月5日、ヘイトスピーチを繰り返す男性が川崎市中原区で主催したデモが、差別に反対する多くの市民らに取り囲まれ、主催者の判断で中止となった。川崎市はヘイトスピーチ解消法を踏まえて公園利用を不許可とし、横浜地裁川崎支部が一定範囲内でのヘイトデモを禁じる仮処分を決定。警察庁が全国の警察本部に厳正な対処を通達している。

 知事は答弁でこうした点を挙げ「中止の背景として、ヘイトスピーチ解消法が大きな後ろ盾になった。多くの市民がヘイトスピーチを許さないとの思いを強く訴えたことは、解消に向け大きな力になると感じた」と述べた。

 県の対応については「関係部局を招集し、意思統一を図った」とし、「法の趣旨を受け止め、根絶に向けてしっかり取り組むことで、民族や国籍を超えて互いの人権を尊重し合う社会の実現を目指す」と答弁した。

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