東国大教授「日本にある金剛鈴、16点中9点は高麗の物」

崔応天教授、日本国内の16点を精密調査

 「唐・宋の物とされてきたが、びっしりとある文様が突出している中国の物とは異なり、高麗の物は陰刻で簡略に表現」

 「日本にある金剛鈴のうち、これまで中国の物と分類されていた9点は高麗時代の遺物とみるべき」

 東国大学美術史学科の崔応天(チェ・ウンチョン)教授は昨年、安息年休暇を利用し、日本国内の博物館・美術館が所蔵している金剛鈴16点を精密調査した。金剛鈴とは、水滴型をした仏教の儀式の道具で、取っ手の端の部分が動物の爪のように分岐している。崔教授は9日「日本では、残存している金剛鈴のうち様式的に優れた作品を、特に理由もなく唐もしくは宋の制作としてきたが、このうち9点は高麗時代の物という結論を下した」と発表した。

 崔教授によると、中国製の金剛鈴はおおむね高さが27-30センチで、韓・中・日の中では最も大きい。取っ手は太く、取っ手と本体がほぼ1対1で同じ割合だ。文様は突出しており、取っ手と本体をつなぐ部分をハスの葉・花などの文様でぎっしり埋めているのが特徴。目の細かい「魚子文」で余白を埋める唐の金属工芸品の手法が、金剛鈴にもそのまま採用されているわけだ。これに対し韓国の金剛鈴は、ほとんどが高さ22-23センチで、取っ手は太くない。文様の突出もそれほどではなく、そもそも陰刻で簡略に表現している。取っ手と本体の連結部分は「蓮弁(れんべん)文(ハスの花弁の模様)」で囲ってある。

 中でも奈良国立博物館が所蔵している「銅五大明王五鈷鈴(ごこれい)」は、図録では「唐・宋代に作られた中国の金剛鈴」と紹介してあるが、取っ手に陰刻で蓮弁文が表現してあり、本体の肩の部分にも厚い蓮弁文が重ねてある点など、高麗時代の金剛鈴の特徴が明らかに出ていると崔教授は説明した。崔教授は「この金剛鈴は、植民地時代に撮影されたガラス乾板の写真から、もともとは海南の大興寺が所蔵していた物と考えられる。その後、奈良国立博物館が所蔵するようになったと推定される」と語った。

 崔教授は、こうした内容を11日に韓国美術史学会の学術大会で発表する。崔教授の論文によると、帝釈(たいしゃく)、梵天(ぼんてん)、四天王像を一緒に刻む「梵釈四天王鈴」形式は、中国と日本の金剛鈴では見られない韓国的な様式。東京国立博物館が所蔵する「銅梵釈四天王五鈷鈴」など日本にある梵釈四天王鈴は、いずれも高麗時代の物と確認された、と崔教授は付け加えた。崔教授は「2014年にソウルの道峰書院跡から出土した金剛鈴は、本体の上部に五大明王、下部に梵天と帝釈天・四天王像を結合させた、東アジアでは初の図像で、中国の五大明王鈴を受容しつつ韓国的な金剛鈴へと変容させた最初のケース。東アジアでは、韓国の金剛鈴が中国の物に劣らずさまざまな類型を持っていることを、日本国内の金剛鈴の調査を通して新たに究明することができた」と語った。

許允僖(ホ・ユンヒ)記者
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  • ▲左の写真は奈良国立博物館にある「銅五大明王五鈷鈴」。右の写真は、2014年に道峰書院跡から出土した高麗前期の金剛鈴。/写真提供=崔応天教授、李泰景(イ・テギョン)記者

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