音楽やバレエの興行師として国際的に活躍した元日本舞台芸術振興会(NBS)代表、故佐々木忠次(ただつぐ)さんのお別れの会が12日、東京・目黒のNBS内東京バレエ団スタジオで開かれた。佐々木さんは4月30日、心不全で死去。ミラノ・スカラ座やパリ・オペラ座といった欧州の名門歌劇場を数多く招聘(しょうへい)する一方、世界的水準のダンサーたちが育つ土壌を日本で育てた。親交のあった国内外の「友人」たちが弔事を述べ、悼んだ。

 小泉純一郎元首相は「佐々木さんのおかげで、私は日本にいながらにして世界の超一流に触れることができた。プロの人々に大きな刺激を与えつつ、一般の観客をも芸術の高みへと導いた」と功績をたたえた。

 舞踊評論家の三浦雅士さんは「興行師や男性ダンサーの仕事のすごみを教え、世界に誇れるレベルの観客を育てた。この成熟にふさわしい劇場をつくるという悲願を、私たちが受け継がなくてはいけない」。女優の黒柳徹子さんは「いいものを、美しいものを見せたいという純粋さと情熱は忘れません」と語った。

 15歳のとき、パリ・オペラ座バレエ学校の来日公演で初来日したダンサーのシルヴィ・ギエムは「私に素晴らしい世界への扉を開いてくれた人。単刀直入で、ちょっぴり短気で、ムダが嫌い。ダンスと音楽を無条件に愛した佐々木さんの情熱、勇気、そして信念に私は人生を変えられた。夢を実現し、多くの人の人生を美しいものにしてくれた。ボン・ボヤージュ(良い旅を)!」と呼びかけた。(編集委員・吉田純子)