「埠頭駅定食」を私有地に配置すれば有罪になるのかー8
「埠頭駅定食」を私有地に配置すれば有罪になるのかー7の続きです。本記事以降では、私有地に「定食」を配置し、それを食べた猫が実際に死傷したケースについて考察します。
*いわゆる「定食」とは、法的規制がないが、動物にとって致死毒となるものを、猫の餌などに混ぜたものです。混ぜるものは、自動車ラジエーター不凍液、人間用鎮痛剤などが代表的。掲示板2ちゃんねる「生き物苦手板」で猫の防御方法として紹介され広がりました。猫以外にも、ネズミやナメクジの駆除にももちろん使えます。
まず前提として、刑事事件で有罪とするには、以下の条件を全てみたさなければなりません。
1、その行為が犯罪の構成要件を満たしている、
2、それが立証できる、
3、その他有罪を妨げる事実がない(犯人の責任能力、緊急避難、正当防衛など)こと。
今回は、いわゆる「定食」と私有地に配置し、それを食べた猫が死傷した場合、「定食」を配置した者を動物愛護管理法44条1項違反で有罪することができるかという件に関して論じたいと思います。結論から言えば、私有地であっても、・侵入する猫に対して明確な殺害意図があり、・猫の侵入による被害は一切なかった。つまり猫を殺害する必要性は全くなかった、との条件を満たせば、動物愛護管理法44条1項違反という犯罪は成立します。つまり上記条件の内、「1、その行為が犯罪の構成要件を満たしている」からです。
しかしその犯罪で有罪とするには、上記の1、の他に、「2、それが立証できる」と「3、その他有罪を妨げる事実がない」を満たすことも必要です。
「・侵入する猫に対して明確な殺害意図があり、・猫の侵入による被害は一切なかった」のであれば、動物愛護管理法44条違反「愛護動物をみだりに殺す、傷つける」が成立します。「1、その行為が犯罪の構成要件を満たしている」からです。・明確に殺害する意図~故意、・猫の侵入による被害は一切なかった~殺害する必要性はない、みだりな殺傷、です。
しかしその犯罪により、犯人を立件~有罪にするためには、他に「2、立証」と、「3、その他有罪を妨げる事実がないこと」が必要です。今回は、「2、犯罪の成立を立証できるか」について論じたいと思います。
これも先に結論から言えば「犯罪事実の立証」はほぼ不可能です。したがって「定食」を実際に配置し、それを食べた猫が実際に死傷したとしても、その犯人を有罪とすることはほぼ不可能です(ただし、犯人が「猫を殺すためにした」と公言し、その様子を詳細にビデオなどに記録し、インターネットなどで広く公開するのは例外です。このようなケースでは、犯罪の成立を犯人自ら立証しているのと同じだからです)。
・まず犯罪の構成要件である「犯人の猫を殺害するという意図」ですが、人の心理を第三者が客観的に証明することは不可能です。再び、問題のブログ記事を引用します。
2ch生き物苦手板の住民とのオフ会の報告
【弁護士の見解】毒餌は敷地内であっても違法行為。(太字が質問者、赤字が弁護士?と思われる)。
>しかし合法的な薬剤であるわけで、「ただ置いておいただけ」「ナメクジやネズミや蟻の駆除のために置いておいただけ」「捨てただけ」と言い訳されてしまったら、逮捕できないのではないでしょうか?
現場の全体的な状況からして、ただ置くということは通常では考えられない行動ですし、ナメクジやネズミ等の駆除をするにしては、不自然な場所、時期(例えば、そのような害虫が発生しようのない冬場であるとか、)に置いたものである場合は、警察官としても、「この人は嘘をついているな」と認定するということも考えられます。
少し話がそれますが、私は既に同名の記事で書いているとおり、仮に「定食」を配置してその「定食」で実際に猫が死傷していても、現行犯逮捕は出来ません(その根拠は過去記事を読んでください)。もし動物愛護管理法違反44条で逮捕するのであれば、通常逮捕になります。その場合は裁判所が決定します。ですから「逮捕できないのではないでしょうか?~警察官としても、『この人は嘘をついているな』と認定するということも考えられます」なんて弁護士が回答するわけがありません。逮捕要件を認定するのは裁判官です。
通常逮捕では、裁判官が逮捕の理由と逮捕の必要を審査して、逮捕状を発付します。その要件には、かなりの客観性が求められます。
「ただ置くということは通常では考えられない行動ですし、ナメクジやネズミ等の駆除をするにしては、不自然な場所、時期(例えば、そのような害虫が発生しようのない冬場であるとか)」ですが。
ネズミは通年発生します。例えば不自然な場所(がどのような場所なんでしょうね?)であったとしても、「定食」の配置者が単に無知であって、ネズミの駆除には非効率的な場所に設置した可能性もあります。猫は、市販のペレット状の殺鼠剤でもそのまま食べます。そのような殺鼠剤を「不自然な場所、時期」においただけで犯罪者として逮捕されるのですかね?
また「定食」の配置者が無知であったために、冬季はナメクジが出ないのにナメクジの発生の予防のために「定食」を設置したのかもしれません。その「定食」の配置が不自然かどうかは主観的なものですし、状況証拠といえば言えなくもないですが根拠薄弱です。
それ以前に、その者が私有地に置いたものが、当該猫の死因だったということはどうやって疎明するのでしょうか(逮捕が認められるためには、死んだ猫の直接的な死因となった「定食」に対しての疎明が必要です。すでに食べられてしまった過去の「定食」で、有害な物を混入していた、配置が不自然であったなどです。既に食べてしまった「定食」でどうやって疎明するのでしょうか。今現在の怪しい行為~「定食」?を配置している?を疎明したところで既に死んだ猫との因果関係はありません。このところを【弁護士の見解】では、前提条件を明らかにしていません。今現在行われている「定食」の配置で~つまりその「定食」でまだ猫が死んでいない未遂、で逮捕できると取れる文章です。弁護士が、このような前提条件が曖昧な回答をすることはありえません)。
「以前、その者が猫の餌のようなものを私有地に置いていた。有毒なものを混ぜた『定食』に違いない」という目撃証言だけでは、根拠が余りにも薄弱です。もしかしたら普通の餌かもしれませんし。逮捕状の発布すら不可能だと思います。
刑事事件での有罪は、状況証拠だけでは大変難しいとされています。曖昧な状況証拠、つまり「『定食』の配置が不自然であった(死因となる定食はすでに過去のもので、それすら証明するのは難しい)」ということのみで持って、有罪とすることはほぼ不可能です。状況証拠のみでの有罪判決もないことはないですが、そのようなケースでは、非常に多くの状況証拠を積み上げています。また「『定食』の配置が不自然」ですが、「不自然」との判断は主観でしょう。それでもって、犯人の「猫を殺す意図」とするには、余りにも根拠薄弱です。
犯罪行為の立証のためには、既に死傷した猫の原因となる過去の(既に食べられてしまった)「定食」の原因物質、配置した時間場所、配置の状況、誰がしたのかの特定(犯人と推定される者が家人に依頼したかもしれませんしetc...)などの証明が必要です。その証明は大変困難です。今現在行っている「定食」の配置は、既に死んだ猫とは、何ら因果関係はありません。【弁護士の見解】では、今現在行われている「定食」の配置なのか、猫が既に死傷した原因となった、過去の「定食」配置なのか記述が曖昧です。法律家がそのような回答をするとは信じがたいです(続く)。
*いわゆる「定食」とは、法的規制がないが、動物にとって致死毒となるものを、猫の餌などに混ぜたものです。混ぜるものは、自動車ラジエーター不凍液、人間用鎮痛剤などが代表的。掲示板2ちゃんねる「生き物苦手板」で猫の防御方法として紹介され広がりました。猫以外にも、ネズミやナメクジの駆除にももちろん使えます。
まず前提として、刑事事件で有罪とするには、以下の条件を全てみたさなければなりません。
1、その行為が犯罪の構成要件を満たしている、
2、それが立証できる、
3、その他有罪を妨げる事実がない(犯人の責任能力、緊急避難、正当防衛など)こと。
今回は、いわゆる「定食」と私有地に配置し、それを食べた猫が死傷した場合、「定食」を配置した者を動物愛護管理法44条1項違反で有罪することができるかという件に関して論じたいと思います。結論から言えば、私有地であっても、・侵入する猫に対して明確な殺害意図があり、・猫の侵入による被害は一切なかった。つまり猫を殺害する必要性は全くなかった、との条件を満たせば、動物愛護管理法44条1項違反という犯罪は成立します。つまり上記条件の内、「1、その行為が犯罪の構成要件を満たしている」からです。
しかしその犯罪で有罪とするには、上記の1、の他に、「2、それが立証できる」と「3、その他有罪を妨げる事実がない」を満たすことも必要です。
「・侵入する猫に対して明確な殺害意図があり、・猫の侵入による被害は一切なかった」のであれば、動物愛護管理法44条違反「愛護動物をみだりに殺す、傷つける」が成立します。「1、その行為が犯罪の構成要件を満たしている」からです。・明確に殺害する意図~故意、・猫の侵入による被害は一切なかった~殺害する必要性はない、みだりな殺傷、です。
しかしその犯罪により、犯人を立件~有罪にするためには、他に「2、立証」と、「3、その他有罪を妨げる事実がないこと」が必要です。今回は、「2、犯罪の成立を立証できるか」について論じたいと思います。
これも先に結論から言えば「犯罪事実の立証」はほぼ不可能です。したがって「定食」を実際に配置し、それを食べた猫が実際に死傷したとしても、その犯人を有罪とすることはほぼ不可能です(ただし、犯人が「猫を殺すためにした」と公言し、その様子を詳細にビデオなどに記録し、インターネットなどで広く公開するのは例外です。このようなケースでは、犯罪の成立を犯人自ら立証しているのと同じだからです)。
・まず犯罪の構成要件である「犯人の猫を殺害するという意図」ですが、人の心理を第三者が客観的に証明することは不可能です。再び、問題のブログ記事を引用します。
2ch生き物苦手板の住民とのオフ会の報告
【弁護士の見解】毒餌は敷地内であっても違法行為。(太字が質問者、赤字が弁護士?と思われる)。
>しかし合法的な薬剤であるわけで、「ただ置いておいただけ」「ナメクジやネズミや蟻の駆除のために置いておいただけ」「捨てただけ」と言い訳されてしまったら、逮捕できないのではないでしょうか?
現場の全体的な状況からして、ただ置くということは通常では考えられない行動ですし、ナメクジやネズミ等の駆除をするにしては、不自然な場所、時期(例えば、そのような害虫が発生しようのない冬場であるとか、)に置いたものである場合は、警察官としても、「この人は嘘をついているな」と認定するということも考えられます。
少し話がそれますが、私は既に同名の記事で書いているとおり、仮に「定食」を配置してその「定食」で実際に猫が死傷していても、現行犯逮捕は出来ません(その根拠は過去記事を読んでください)。もし動物愛護管理法違反44条で逮捕するのであれば、通常逮捕になります。その場合は裁判所が決定します。ですから「逮捕できないのではないでしょうか?~警察官としても、『この人は嘘をついているな』と認定するということも考えられます」なんて弁護士が回答するわけがありません。逮捕要件を認定するのは裁判官です。
通常逮捕では、裁判官が逮捕の理由と逮捕の必要を審査して、逮捕状を発付します。その要件には、かなりの客観性が求められます。
「ただ置くということは通常では考えられない行動ですし、ナメクジやネズミ等の駆除をするにしては、不自然な場所、時期(例えば、そのような害虫が発生しようのない冬場であるとか)」ですが。
ネズミは通年発生します。例えば不自然な場所(がどのような場所なんでしょうね?)であったとしても、「定食」の配置者が単に無知であって、ネズミの駆除には非効率的な場所に設置した可能性もあります。猫は、市販のペレット状の殺鼠剤でもそのまま食べます。そのような殺鼠剤を「不自然な場所、時期」においただけで犯罪者として逮捕されるのですかね?
また「定食」の配置者が無知であったために、冬季はナメクジが出ないのにナメクジの発生の予防のために「定食」を設置したのかもしれません。その「定食」の配置が不自然かどうかは主観的なものですし、状況証拠といえば言えなくもないですが根拠薄弱です。
それ以前に、その者が私有地に置いたものが、当該猫の死因だったということはどうやって疎明するのでしょうか(逮捕が認められるためには、死んだ猫の直接的な死因となった「定食」に対しての疎明が必要です。すでに食べられてしまった過去の「定食」で、有害な物を混入していた、配置が不自然であったなどです。既に食べてしまった「定食」でどうやって疎明するのでしょうか。今現在の怪しい行為~「定食」?を配置している?を疎明したところで既に死んだ猫との因果関係はありません。このところを【弁護士の見解】では、前提条件を明らかにしていません。今現在行われている「定食」の配置で~つまりその「定食」でまだ猫が死んでいない未遂、で逮捕できると取れる文章です。弁護士が、このような前提条件が曖昧な回答をすることはありえません)。
「以前、その者が猫の餌のようなものを私有地に置いていた。有毒なものを混ぜた『定食』に違いない」という目撃証言だけでは、根拠が余りにも薄弱です。もしかしたら普通の餌かもしれませんし。逮捕状の発布すら不可能だと思います。
刑事事件での有罪は、状況証拠だけでは大変難しいとされています。曖昧な状況証拠、つまり「『定食』の配置が不自然であった(死因となる定食はすでに過去のもので、それすら証明するのは難しい)」ということのみで持って、有罪とすることはほぼ不可能です。状況証拠のみでの有罪判決もないことはないですが、そのようなケースでは、非常に多くの状況証拠を積み上げています。また「『定食』の配置が不自然」ですが、「不自然」との判断は主観でしょう。それでもって、犯人の「猫を殺す意図」とするには、余りにも根拠薄弱です。
犯罪行為の立証のためには、既に死傷した猫の原因となる過去の(既に食べられてしまった)「定食」の原因物質、配置した時間場所、配置の状況、誰がしたのかの特定(犯人と推定される者が家人に依頼したかもしれませんしetc...)などの証明が必要です。その証明は大変困難です。今現在行っている「定食」の配置は、既に死んだ猫とは、何ら因果関係はありません。【弁護士の見解】では、今現在行われている「定食」の配置なのか、猫が既に死傷した原因となった、過去の「定食」配置なのか記述が曖昧です。法律家がそのような回答をするとは信じがたいです(続く)。
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