【寄稿】「朝鮮半島は統一しないといけないの?」と尋ねた君へ

 2012年1月6日付のドイツの週刊誌『シュピーゲル』に、韓国関連の専門記事が載りました。ドイツの指導層20人が韓国を訪れ、人々と会い、感じたことを討論しました。東ドイツ最後の首相を務めたデメジエールは「韓国の人々は基本的に、かなりのカネがかかる統一は望んでいない」と語りました。この言葉を受けて、東ドイツ最後の国防相だったエッペルマンは「韓国の人々は、統一後も国境をコントロールしようとしている。全く、あきれてしまう。壁が崩れたのに、また壁を築こうとするのだから」と語りました。13年春、私がベルリンに滞在していたときに会ったドイツの友人は、私にこう言いました。「われわれは、自分の世代が統一の使命を担ったことをうれしく思った」と。

 ドイツ人と韓国人の違いは何でしょうか。ドイツ人は、根本を忘れず、統一もそうした観点から対応したようです。ドイツは韓国より資本主義の歴史が長いですが、それをがっちり支えてくれる精神的価値と共同体意識があり、カネが先頭に立つことはありませんでした。ところが韓国は、そうではないという思いを抱きます。私は、ドイツ人の意識の中にしっかり根差している共同体意識、歴史意識が本当にうらやましい。

 大変なことですが、失望せず熱心にがんばって、就職に成功してください。大学で長い間、若い人と一緒にやってきたので、君の痛み、今の時代の青年の怒りを少しは理解しています。そして上の世代の一員として、申し訳なく思います。しかし、心からお願いします。熾烈(しれつ)な競争の中で生きていくしかないとしても、それを超える本当に根本的なもの、重要なものがあることを、一緒に忘れず生きていってください。

尹永寬(ユン・ヨングァン)ソウル大学名誉教授・元外交通商部長官
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