【寄稿】「朝鮮半島は統一しないといけないの?」と尋ねた君へ

 とっぴなことに聞こえるかもしれませんが、結婚して子どもをもうけ、育ててみてください。苦労しますが、本当にかわいい。ところが最近、孫ができた私の友人たちは、こんなことを言います。息子・娘ができた時とはまた違うと。孫があまりにかわいく、寝ている姿をじっと眺めていると恍惚(こうこつ)感を抱く、と。

 そのかわいい孫が、またその子孫が、統一韓国の市民として国際社会で堂々と、そして豊かな先進国の市民として生きていけるようにしてやるのが、統一のはずです。それでも、自分が死ぬまで楽に生きていかねばならないので、チャンスが来ても統一にそっぽを向いた、と仮定してみましょう。後の世代は、先祖に当たる君の世代について何と言うでしょうか。もしかすると、国を失った先祖に劣らず、出来損ないの先祖だったとののしるのではないでしょうか。

 歴史意識とは、特別なものではありません、これが歴史意識です。ところが今、韓国人の心の中から歴史意識が、そして共同体意識が消えつつあります。意識の中に存在しているのは、ひたすら「自分」と、自分が生きている「今」だけです。何が、そうさせてしまったのでしょうか。私は、物神主義だと思います。カネが全てという物神主義が、韓国人の魂を奪っていきつつあるようです。もちろん、君の祖父の世代、親の世代は、貧しさに打ち勝とうと本当に熱心に走りました。だからここまで食べていけるようになりました。ところが問題は、本当に重要なもの、根本的なものを忘れてしまったことです。そしてそれが、統一に対する韓国人の考えの中に表れているというわけです。

尹永寬(ユン・ヨングァン)ソウル大学名誉教授・元外交通商部長官
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