『黄色い目の魚:佐藤多佳子』は、おすすめできる青春恋愛小説
今回ご紹介するのは「黄色い目の魚」という本です。
様々な書評サイトなどでも、おすすめの恋愛小説として取り上げられていますので、
ご存知の方も多いかもしれません。
少し歪んだ家族との関係により、心に傷を負っている高校生の男女。
彼らが心を許せる人は少なく、どこか孤独感を感じているようです。
さて彼らは、心から愛せる人を見つけることができるのでしょうか。
以下、amazon商品説明より一部引用
海辺の高校で、同級生として二人は出会う。周囲と溶け合わずイラストレーターの叔父だけに心を許している村田みのり。絵を描くのが好きな木島悟は、美術の授業でデッサンして以来、気が付くとみのりの表情を追っている。友情でもなく恋愛でもない、名づけようのない強く真直ぐな想いが、二人の間に生まれて――。
あらすじ
高校生の男女2人が主人公です。
1人は、村田みのり。
人に合わせるのが苦手な彼女は、家族から疎まれ、学校でも友達は多くありません。
心を許せるのは、叔父の「通ちゃん」だけ。
もう1人は、木島悟。
サッカー部に所属していて、絵を描くのが癖になっている男子高校生です。
両親はまだ彼が幼いころに離婚。
幼いころ1度だけ会った父、母からろくでなしと聞いていた父は、絵を描くのが好きな男でした。
高校生になり、クラスメイトとなったみのりと悟。
特に接点もない日々が続いていました。
ある日の美術の授業時間、悟はみのりの上半身像を描くことになります。
が、どうしてもうまく書けない。
なぜだろう。これは彼女の姿だけど、彼女を表してはいない。
そう感じた悟は、無意識に、そしてまた意識的に、視線でみのりを追うようになります。
悟を知り、悟の絵を知ったみのりも、弱からず彼を意識してしまうのです。
この気持ちは恋なのか、友情なのか。
絵を通じ、人を通じ、2人はその感情の答えを解き明かすことはできるのでしょうか。
感想:がっつり没入できて、ちょっぴり泣ける物語
高校生と高校生の青春モノというジャンルを、久々に読んだ気がしました。
思えば最近の小説・漫画には、どちらかが少し、もしくはとても年上、年下という、
年の差恋愛が多いですね。
高校生同士というのは、王道であるが故に、少し使い古された感もあるのかもしれません。
それはそうと、この物語は面白かった。
高校生と高校生という軸があるものの、そこに叔父が加わり、年上の美しい女性が加わり……
と、ただ単純な高校生の恋愛に終わっていないところが良かったです。
家族との間に抱えるコンプレックスが鍵になっています。
17,18歳あたりって、家族との間にわだかまりを抱えることが多いですよね。
私もその頃、家族との会話がめっきり減っていたことを思い出します。
心当たりのある方が読むと、より感情移入できますよ。
まとめ
家族との間にわだかまりを抱えている方。
美術(絵)に興味のある方。
そんな人の本棚に、ピッタリ当てはまる1冊です。
男女の主人公なので、男性・女性ともに感情移入しやすいつくりになっています。
子供から大人へと変わる過渡期は、いろんな葛藤がありますよね。
青臭くもあり、ホロ苦くもある、透明感のある物語でした。
最後に
最後まで読んでくださりありがとうございます。
今日のオススメ本、いかがでしたか?
こんな時に読む本をお勧めしてほしい。などあれば、コメント等でお知らせください。私、とても喜びます。
読んだ感想などお聞かせいただければ、これもまた、とてもうれしいです。
ぜひ私と、読書体験を共有しましょう。
目的別おすすめ度
泣ける本:★★☆☆☆ 2
キュンとする本:★★★★☆ 4
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