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魔拳のデイドリーマー 作者:和尚

第11章 大監獄と紅白の姫

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第188話 噂

先日は投降後、まとめ版の差し替えの時にアクセス不具合が起こってしまったようでお騒がせしました……システム上のことっぽいのですが、気をつけます。

第188話、どうぞ。
 

 サナトリウム生活もそろそろ1週間。

 驚きと戸惑いを隠しきれない様子だった2人も、さすがに慣れてきたのか、自分の家のように……とまでは言えないかもしれないが、リラックスして日々過ごしている。

 クロエは、食事と実験・検査以外の時間は、トレーニングルームで汗を流していることが多い。なまった体を本調子に戻したいらしく、ここでならそれも可能かもしれないと気合入っていた。

 一方ネリドラは、図書室で本を読んだり、気晴らし程度にトレーニングルームで軽く運動したりして過ごしている。

 もちろん2人で一緒に過ごしていることも多いし……クロエの方は更に、ナナや、時々来るアリスともよくおしゃべりして楽しく過ごしているようだ。ここでは名前呼びOK、私語OK、気にされなければ警護も不要なので、囚人と看守という立場の違いを一時忘れて楽しんでいる。

 元軍人のクロエに言わせると、ここでの生活は、仕官学校時代の合宿訓練なんかを思い出すそうだ。規則正しく生活し、体を動かして鍛える……っていうのは、まさにそんな感じだと。

 運動しつつご飯もしっかり食べ、合間合間には本を読んだり、お風呂に入ったり、友達とバカ話して楽しく過ごす……むしろ活力が沸いてくる気がするんだとか。
 もっとも、訓練での合宿はもっと過酷だったそうだけど。そりゃそうだろうね。

 そんな環境が手伝ったのかもしれない。クロエはもちろん、ほどなくしてアリスまでもこの場所のこの空気になじんで、ここでは同期3人仲良く過ごすようになれたのも。
 主目的である『リラックス』もきちんと出来ているようで何よりである。

 その分、ネリドラと話したりする時間は必然的に減ったみたいだけど……ネリドラ本人は特に気にしてないみたいだし、活気付き、楽しそうにしているクロエを見ているのも楽しそうだ。

 その間は本読んだり、自分のやりたいことやって有意義に時間を使ってるみたい。

 あ、ちなみに、その過程で僕、ナナ経由で彼女の同期2人とも結構仲良くなり、普通勝つ気軽にしゃべるようになったため、アリスもクロエも呼び捨て。
 さらに、それを聞いてたネリドラも『じゃあ私も』って言ってきたので、彼女も呼び捨てで呼ぶことにした。

 なお、この頃になるとそろそろ諦めるということを覚えたのか、アリスが微妙な顔をしつつも何も言わず、ため息だけをつくようになっていたことを追記しておく。

 ☆☆☆

 昼前、『サナトリウム』を出た僕は、男子監獄と女子監獄の中間、正面玄関を入った先真っ直ぐにある監獄のオフィスの窓口に来ていた。お供はアリス。
 なお、サナトリウムの外のため、当然白衣ではなく制服に着替えている。

 女子監獄では出来ない、ちょっとした手続きと交渉のためにここに来た。
 もっとも……それ自体はもう終わったんだけど。

「お待たせしました」

 椅子に座って待っていた僕とアリスに声がかかり、それを受けて僕ら2人は窓口へ赴く。
 するとそこには、ここに来た時に応対してくれた受付係りの女性ともう1人、穏やかな笑顔を浮かべた壮年の男性が立っていた。

 ちょっと考えて、何とか名前を思い出した。
 たしか……『ルドルフ・ファーマウンド』。ここラグナドラスの事務総長だ。
 その名の通りの事務方のトップ。警備とかに直接関わったりはしないけど、書類の処理や物品の管理、職員の給料から囚人たちへの『点数』まで、様々な裏方仕事の総責任者である。

 ここに来てまもなく、色々細かい手続きのためにこのオフィスに来たことが会ったんだけど、その時に自己紹介されたのを覚えている……が、僕の記憶が正しければ、会ったのはその時だけ。

 実に一ヶ月ぶり+1回しか会ったことないんだから、思い出すのにも苦労しようもんである。

 そんな人が何で出てきたんだろうか、と考えていると、まず受付のお姉さんが、僕らがさっき渡して処理をお願いしたものを、トレーに載せて持ってきた。
 クロエとネリドラ、2人の手帳を。

 さて、何で僕がこの2人の手帳を事務オフィスに提出してるのか……それを説明する前に、この監獄の仕組みをおさらいしておきたい。

 この監獄では、労役などを行った囚人に対して、点数という形で報酬が出る。そしてその点数は、バインダー式の手帳のページとして切り取り式のクーポン券みたいな形で支給される。

 しかし、おつりや、急に決まった労役などは、切手のような見た目の『印紙』を手帳に貼り付け、後日それをもとにページが発行される。

 そして僕は、治験を行う際、懲罰や参加強制によって使った囚人に対しては無報酬で参加させてるんだけど……『労役』によって参加してきた囚人に対しては、報酬として点数を出している。
 その支払いを行う際、たびたびこの印紙の世話になっているのだ。

 なぜかというと、僕が報酬で支払う点数は、大概、手帳のページに対応してないから。

 そもそも手帳には『1日あたり~点』っていう記入欄があるんだけど、そこには通常の労役に対応した点数しかない。

 例えば、報酬ありで働く囚人に対しての1日あたりの報酬の最大は……その囚人が模範囚と言える『1級』の囚人ランクを持ち、なおかつ労役の内容を選んだ場合として、100点である。
 ゆえに手帳のページには、1日あたり100点まで記入することが出来る。

 が、僕の行う治験の中には、1日あたりの報酬がその額を超えるものも少なくないため、1度に200点とか300点とか1000点を出せる『印紙』をよく使うのだ。目とか、デリケートな感覚器官を使う実験内容の場合、特に高くなる。

 特に、『サナトリウム』内部で行われる実験に対する報酬は、クロエとネリドラを外に出すわけにはいかないことも手伝って完全に印紙頼りで、しかも1日に何枚も貼る日もあった。

 そのため、今日印紙からページを作ってもらうために彼女達の手帳を事務に提出した所、印紙の枚数と、それによって支払されていた報酬の金額がアレなことになっていて、時間がかかった。

 通常の3倍くらい時間がかかって処理が終わった手帳を受け取ると、しっかり点数ページが発行されていた。そしてそのせいでどちらも若干厚くなっていた。
 まあ、治験一週間分その他諸々、数千点分のページだから当然だけど。

 おそらく今後、かなり余裕を持って売店で買い物が出来ることだろう。

 ちなみに、彼女達2人に対する参加強制は『懲罰』であり、本来は報酬を支払う義務はないんだけども……彼女達の懲罰原因である違反行為に比して実験内容が複雑かつ本人達の強力を要する所が大きいため、とか理由をつけて報酬を出していたりする。

 えこひいきだとか、囚人に対して過剰な贅沢だとか思われるかもしれないが、その『贅沢』によってリラックスしてもらうことが目的なので無問題である、と理論武装させてもらおう。

 さて、そんな感じで大幅に残高?の増えた手帳を返してもらった僕に……繰り返しになるが相当久しぶりに会う事務総長さんが話しかけてきた。

 なんでも、追加で申請した印紙の発行にもう少しかかるから、その間にちょっと話したいことがあるとかで、アリスも一緒に奥の部屋についていった。
 そこで聴かされた話っていうのが、

「不透明性、ですか?」

「うむ。少し問題になっていてね……研究そのものはともかく、君の言う『サナトリウム』に色々と懸念を示す者が出てきているのだよ」

 どうも、色々と規則を捻じ曲げて実施している『サナトリウム』の運営に異議を唱える声が、多くはないものの、事務および警備部門の内部に現れてきているらしい。

 それなりに大きな部屋をいくつも使って研究用の施設を構え、しかしそこにはごく一部の関係者以外近づかせず、立ち入らせず、内部で何をしているのかわからない。

 それだけならまあ、所長の許可も出てるし目をつぶっていられたものの、最近になって更に他にいくつか規則を捻じ曲げて何かし始めた。それも、また見えない所で、情報非公開で。

 それら全て、所長から『特例として認める』という指示が出ているものの……よく思っていない者たちがだんだんと増えてきているんだとか。

 許可出てるんだからいいじゃん、と言いたいが、今まで鉄の規則で秩序を守られてきたここの職員達からすれば、どこからともなく現れて、自分達の目の届かない所で囚人たちを使って何かを進めている僕みたいな存在は、縄張りを荒らされてるみたいで気に入らない……のかも?

 気持ちは多少察しつつも、こっちは王女様からの依頼で動いてるのであり、所長よりもよっぽど偉い彼女からも許可を貰っている。なのでやめるつもりは無い。自重するつもりも無い。

 と思ってた僕に、事務総長さんが『そこで』と切り出すように話しかけてきた。

「提案なんだが……この状況を改善するために、協力してはくれんかな?」

「? どういうことです?」

「うむ。今のこの不満は、大雑把に言って、君の作った施設の透明性が確保できていない点にある。そこでだ……一度でいい、こちらで信頼できる人員を選抜するので、施設内を見せてくれないか? できれば、簡単にでいいから案内してくれるとなおありがたい」

「……はぁ……見学、みたいなものですか?」

「まあ、そういうことになるね」

 この事務総長さんも、僕が王女様に依頼を受けて薬の作成を行っているという事実は知っている。
 それゆえに、僕が設けている『サナトリウム』に透明性がないからといって、透明性を持たせるわけにはいかない、ということも理解しているはず。

 そこで提案してきたのが、自分と自分の信頼できる部下少数だけで『臨時視察』を行うというものだった。

 内部について多少質問を行ったりするものの、短時間での簡単な案内だけでいい。自分達が一度視察を行い、内部で行われていることに問題無しと結論を出して発表すれば、それで不満に思っている者たちも納得して大人しくなるだろう、とのこと。

「もちろん、施設内部に関することは一切を他言無用として徹底するよ。行われている研究の内容も、どんな施設になっているかもね。どうだろう?」

 ……つまりは、形式だけの視察ってことらしいけど……さーどうしたもんかな、これ?

 どう答えるべきか、すぐには結論が出ず、悩んでいると、僕より先にアリスさんが口を開いた。

「そういうことであれば、私から何か報告を出しましょうか? 『サナトリウム』のみならず、ミナト殿が来た当初から担当として関わっている私であれば……」

「それも手ではあるが……カラドール看守長の場合は、今言ったとおり『当初から』関わっているという点が逆になあ……」

 アリスも看守長として確かに信頼は集めているものの、その監視下にありながらこの状況が形作られ、容認されているということもあり……上の命令によってある種のイエスマンかメッセンジャーとなっている、と見ている者もいるらしい。

 アリスを悪く言うつもりは無いそうだが、それよりは自分と自分の部下という、設立当初は関わっていなかったある意味『部外者』が視察に赴いた方が、後ろめたいこともなく、安全な施設だとしてアピールしやすいという。

 さらに、『それに……』と、少しもったいぶったように、何かを言いしぶる事務総長。
 まだ何かあるのかとたずねると、事務総長は僕とアリスさんを交互に見比べて、

「……いや、気を悪くしないでほしい……と言っても無理だろうなあ」

 無理なんかい。え、何なの?

「いや、実はね……最近監獄に、妙な噂が広がり始めていてね?」

 ☆☆☆

 結局、その『噂』の内容を聞いて唖然とさせられた後、僕とアリスは事務総長に『考えておいてくれ。出来れば返事は早いほうがうれしいね』と言われて送り出された。

 そしてその帰りがけ、窓口で追加注文した『印紙』の束を受け取っていた時、

「景気がよさそうだな……そこの黒いの」

 ふいに後ろから、聞き覚えのない声がかけられた。

 振り向くとそこには……いつか見た、こちらも事務総長に負けず劣らず久しぶりな顔が。
 が、こっちの目つきも顔色も悪い仏頂面は幾分印象的なので、これが誰だったかはほぼノータイムで思い出すことが出来た。

 ゾルダー・ヘルメス。王国軍大佐にして……男子看守長。
 女子看守長であるアリスと対を成す、男子監獄の看守のトップ。

 今日も徹夜明けのような隈を目の下にはり付けて、しかしいまいち感情の読み取れない顔。
 目つきだけ見ればいらだってるように見えるけど……ミーシャさん曰く、コレ素らしいし。

 そういや声は聞いたことなかったっけ、そりゃわからないはずだ……とか思っていると、

「何か用ですか、ヘルメス看守長」

「いや、別に何も? ただ、そちらの御仁が不慣れな職場で大変だろうに、毎日ご苦労様……と思って声をかけただけさ、カラドール看守長」

 僕が何か言うより先に、またしてもアリスが口を開いたものの、ゾルダー看守長はよくわからない皮肉(?)のようなセリフを残し、振り向いてさっさと歩き去っていった。

 ……が、振り向く直前、なぜかまた睨まれた。

 今度は間違いない。意識して見てたから。
 それまでは、何度も言うように目つきは悪いものの、感情そのものは読み取れないだけのそれだったが……振り向きの際に僕から視線をはずす前の一瞬、視線に敵意が乗った。

 意識してなきゃ気付かなかったくらいに僅かだったけど、気付いてみれば随分と鋭い感じのそれは……まず気のせいなんかじゃありえない。

「……よそ者が嫌いとかなんですかね、彼?」

「いえ、そういった噂は聞いたことはないのですが……」

 アリスも不思議そうにしている。
 もっとも、アリスは今の一瞬の『敵意』に気付いた様子は無いので――そもそも僕個人に対して向けられてた気がする――純粋にさっきの憎まれ口?に対しての反応だろうけど。

 そう考えて……ふと、まさか、と思い至ることが1つあった。
 さっきルドルフ事務総長から聞かされた、ある噂。

 もしかして、アレが原因……なんてことは……?

 ☆☆☆

 その日の夕食の席。
 『サナトリウム』内部に居住空間を構えるメンバーは、この1週間ほどですっかり打ち解け……今じゃこんな風に、皆そろって仲良く夕食を食べるまでになっている。

 8人掛けのテーブルで、僕、ナナ、義姉さん、ギーナちゃん、スウラさん、アリス、クロエ、ネリドラ、そしてアルバが一緒になって食事を取っているこの光景が、今は普通だ。

 軍人、看守、囚人、冒険者etc……とまあ、バリエーションに飛んだ身の上を持つ者たちが、互いを気にせず普通に語り合い、リラックスしている。居心地がいい。

 ナナはアリスとネリドラと主に話してて、話題は様々あるけど……やっぱり軍にいた頃の話題とか、その頃の関係者の話題とかで盛り上がることが多いようだ。他には、ナナとアリスが今の仕事について体験談を面白おかしく話したりしてる。

 その3人にとって師匠である義姉さんも、時々そんな話題に加わったりする。
 ギーナちゃんとスウラさんも同様だ。こっちは、先輩ないし上司として、だけど。

 また、ここにいるメンバーのうちで、僕に呼び捨てで呼ばれていないのが、セレナ義姉さんを除けば自分達だけであることに気付いたスウラさんとギーナちゃんが少し面白くなさそうにして、スウラさんは『私達は呼び捨てで呼んではくれないのか?』なんて言ってきたりした。

 いやその……スウラさんけっこう年上だし、この呼び方になれちゃってるからなんとなく変える気が起きなかったっていうか……ギーナちゃんにしても、そこまで会う機会多くなかったし、ちゃん付けで呼ぶことに何か思ったこともなかったからなあ。

 ただ、ためしに『スウラ』『ギーナ』って読んでみた所……スウラさんはにやにやと笑い、ギーナちゃんはちょっと戸惑っていた。顔も若干赤かった気がする。

 ……うん、やっぱ違和感はいなめない……かな。いきなり違う呼び方にしても……
 でも2人とも、もう付き合いそこそこ長いし、かなり仲良いってのも確かだしなあ……うーむ。

 悩んでたら、義姉さんにニヤニヤとした笑みを向けられ、ナナとネリドラがちょっと心配そうというか、複雑な表情になっていた。なぜだ。

 さて、そんな感じで進んでいた夕食の席、
 ふと僕は……愚痴をこぼす感じで、今日の昼に聞かされた『噂』について話してみた。

 それを聞いて、僕と一緒にそれを聞いていたアリスを除く全員が唖然としていた。
 内容がまあ……あんまりにもあんまりなものだったために。

 
 なんとその噂……僕が権力を乱用して、看守・囚人問わず好みの女をハーレムのように連れ込んで囲い、好きなようにしている、というものだったのだ。

 
 人体実験用のモルモットとして閉鎖された実験施設に囚人を入れ、しかしその中の1部を私的に手篭めにしてるとか、いつも報酬の支払いに使ってる『印紙』を使って、その売春(?)相手の囚人に小遣いをやってるとか……そんな感じの噂が立ってるらしい。

 まあ、別に根拠もない話だから重要視もされてはいないらしいけど。

 ただ、根拠とは呼べないまでも、人体実験をしてるにしては不自然な点も少なからずあるってことで、根強い噂になってしまってるんだそうな。

 まず、ほとんどの治験が女囚を対象として行われている、

 試作品の薬を試してるはずなのに、失敗によって体調を壊したりする囚人がほとんどいない、

 一度参加した囚人のうち何人かはリピーター的に何度も参加している、

 申請者が多くて選抜が行われる場合、スリムで健康的で美しい者が選ばれることが多い、等々。

 ……いや、それらはその……理由ちゃんとあるんだけども。
 最終的に使う対象が王女様たちだから女囚使ってるんだし、体調壊す囚人がいないのはこっちで念入りに検証してるからだし、リピーターは点数欲しさだと思うし、選抜基準云々はだから王女様たちに体型の近いのを選んでるからだし。

 そして最近加わった根拠(?)の1つが……なんと、クロエとネリドラに関することだった。

 2人がこの『サナトリウム』に来るきっかけたる事件があったあの日、僕と僕の関係者……もっと言えば、僕がいつも一緒にいるメンバーが、彼女達2人を護送してきたのを、何人もの囚人や看守が目撃していた。そしてその後、2人は未だに房に帰ってきていない。

 もちろん、同じ房の囚人たちには『懲罰で特別房にいる』という説明がなされているものの、噂を念頭に考えるとそっちの方を疑う者も多く……結果として、新たな誤解が生まれた。

 まあ早い話が、僕がこの2人……クロエとネリドラを特に気に入って、懲罰と称して特別房という名のハーレムに閉じ込め、まあ、色々好きにやっているというものだ。

 それを遠まわし……卑猥にならない程度に言葉を選んで言ったところ、2人とも顔を赤くしていた。ごめんね、変な話聞かせて。

 
 さて、それはそうと……だ。

 クロエやネリドラ、それにギーナちゃんやナナあたりが、今のゴシップ系の、しかも自分のことがその一部として組み込まれて僕との関係を疑われる噂になっていることに、女の子らしく(?)きゃあきゃあと騒いだりしてるけども……

 残り3名、アリス、セレナ義姉さん、スウラさんあたりは……きちんと会話に混ざりつつも、今僕が話したことに対して、少し毛色の違う反応と目つきを見せていた。
 冷静さを帯びた眼光に、疑念が乗っている。

 ……どうやら、彼女達は気付いたようだ。
 今の噂に……おかしい部分があることに。

 それが何なのかは……また今度。

 
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