米軍属を再逮捕…女性殺害と強姦致死容疑
沖縄県うるま市の女性会社員(20)が遺体で見つかった事件で、県警は9日、死体遺棄容疑で逮捕した元米海兵隊員で米軍属のシンザト・ケネフ・フランクリン容疑者(32)=同県与那原(よなばる)町=を殺人と強姦(ごうかん)致死の両容疑で再逮捕した。「今は申し上げることはできない」と認否を留保しているという。
先月19日の逮捕当初は「女性に乱暴するためにナイフや棒を事前に準備した」と供述していたといい、県警は面識のない女性を計画的に襲ったとみて追及する。
逮捕容疑は4月28日夜、うるま市塩屋で性的暴行を目的に女性の頭を棒で殴り、草むらに連れ込んで首を絞め、刃物で体を刺すなどして殺害したとしている。
捜査関係者によると、防犯カメラの映像や携帯電話の位置情報などから、シンザト容疑者がウオーキング中の女性を襲った地点を同市塩屋地区と特定。遺体の骨にはナイフによるとみられる傷も残っており、県警は強い殺意を持って刺したとみている。性的暴行については、当初の供述や遺体の状況などから目的を遂げなかったとしている。
一方、那覇地検は9日、シンザト容疑者を死体遺棄罪で那覇地裁に起訴した。【尾垣和幸、平川昌範】
表面化「氷山の一角」
沖縄県によると、県内で起きた米軍関係者による凶悪犯罪(殺人、強姦、強盗、放火)は2006〜15年の10年間で31件。本土復帰(1972年)直後の10年間の396件に比べると、件数は10分の1以下まで減った。しかし、米軍が綱紀粛正や再発防止を約束しても絶えない犯罪に県民の反基地感情は強く「表面化している事件は氷山の一角」との声も上がる。
同県浦添市のアルバイトの女性(21)は中学3年の頃、コンビニエンスストアで泥酔した米兵とみられる男に性交渉を求められた。男の知人が間に入って止めてくれたが、「怖かった。基地の外ではあまり飲酒できないようにしてほしい」と訴える。
同県渡嘉敷村の公務員の女性(46)は高校教諭だった数年前、教え子の女子生徒から「米軍関係者に性的暴行を受けた」と相談を受けたという。「被害届は出さなかったらしい。隠れた事件はたくさんあるのではないか」と指摘した。【平川昌範、佐野格】