健康問題
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「睡眠時無呼吸症候群」患者が緑内障になりやすい理由 眼圧測定で解明

 睡眠中に呼吸が止まる発作を繰り返す「睡眠時無呼吸症候群」の患者は、発作時に眼圧が下がることを、北海道大学の研究グループが明らかにした。患者は緑内障になりやすいとされているが、理由は分かっておらず、無呼吸発作と緑内障との関係を解明する手掛かりになる研究成果として注目される。

 

 肥満体型の中高年男性に多い「睡眠時無呼吸症候群」は、「無呼吸が一晩に30回以上」、もしくは「1時間あたり5回以上」などいくつかの基準に合うと患者と診断される。国内に潜在する患者の数は300万人とも言われていて、脳梗塞や心筋梗塞など血管系の病気のリスクが高いほか、緑内障の有病率は健康な人に比べて約10倍高い。

 

 緑内障は、視神経が損傷して視野が狭くなっていく病気で、放っておくと失明の危険もあるが、睡眠時無呼吸症候群との関係はよくわかっていなかった。

 

 北海道大学大学院の石田晋教授らのグループは、スイスの企業が新たに開発したコンタクトレンズ型眼圧計を使って、睡眠中の患者の眼圧を5分ごとに30秒間ずつモニターし、呼吸やいびき、心電図などを記録。

 

その結果、通常ならば息を止めると眼圧は上昇するのに、無呼吸発作時には、気道が閉塞して息が吸い込めなくなるために胸腔内の圧力が下がって眼圧も下がることが明らかになった。

 

 研究グループは、発作時には眼圧が下がると同時に、血液中の酸素の量が減って低酸素状態となり、その結果、視神経障害が引き起こされる可能性が高いと結論付け、「睡眠時無呼吸発作と診断された場合は、眼科で定期検査を受けるなど、正常眼圧緑内障の発症に気をつけてもらいたい」と話している。

 

 なおこの研究成果は、米国の視覚科学の専門誌に掲載歳された。

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