神戸製鋼所は9日、グループ会社の神鋼鋼線ステンレス(大阪府泉佐野市)が家電などのばねに使う鋼線の強度試験の値を改ざんしていたと発表した。日本工業規格(JIS)を満たしていると装い規格外の鋼線を出荷していた。出荷済みの鋼線が折れたり切れたりするリスクは低いとしているが、JIS規格の対応品として販売してきた製品の出荷を停止し、安全性を確認する。
規格外品を出荷していたのは釣り具やOA機器などに使われるばねをつくるためのステンレス鋼線。納入先のばねメーカーが加工した後、家電メーカーなどに納入する。
検査記録のある2007年4月~16年5月に55.6トンの規格外鋼線を規格品と偽って出荷した。出荷量全体の0.75%に相当する。原因究明中だが担当者が不良品を減らすために改ざんしていたとしている。
経済産業省などに報告しており、今後は神鋼グループとして外部有識者による調査委員会を設置し、再発防止策をまとめる。
神鋼グループでは08年にも神鋼子会社でJIS法の違反があった。神鋼の梅原尚人副社長は都内で会見し「誠に遺憾。意識改革が浸透していなかった」と陳謝した。