雨の中、列車は寂しく過ぎゆくのみ
【根室】JR北海道のダイヤ改正により3月25日に廃止された市内の花咲駅でホームの解体、撤去作業が行われている。1921年(大正10年)の開業以来、多くの市民が通勤通学に利用しただけに、鉄道ファンらは寂しさを募らせている。
ルパン列車も走る花咲線7本廃止方針 JR北海道
根室在住の鉄道愛好家によると、今月7日からホーム解体工事が本格化した。重機で敷き詰められていた砂利をよけて線路周辺を掘り起こし、石やコンクリートが取り除かれた。9日時点でホームは無くなった。
東西に50メートルほどの長さだったホームだが、55年頃はそれよりも長く伸びていて何両にも連なる貨物列車が停車でき、駅の裏手には貨物を取り扱う会社の営業所があった。市の資料によると、59年の年間乗降客数は約17万人。サケ・マスの水揚げ時期である6、7月になると、1日100個近い荷物を発送するなど、にぎわった。JRによると、ここ数年の1日当たりの利用者は、ほとんどがゼロだったという。
3月25日の駅廃止以来、駅名を示す看板が外され、駅舎は鍵が掛けられ使えなくなっていた。根室高校に通うために毎朝、花咲駅を利用した無職男性(83)は「青春のシンボルが消えてしまい、心に穴が空いたようだ」と話した。
今は貨物列車の車掌車を改装した駅舎が立つのみ。ブログで花咲駅の様子を紹介している市内の鉄道愛好家は「開業時以来のホームが無くなり、さみしい気持ちはあるが、95年間ありがとうと伝えたい」と話した。
北海道新聞
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