どうしたらいい、今すぐ大人になるには――
こんにちは、氷太よ。
今日は秀良子先生の
『金持ち君と貧乏君』
を頂いていくわね。
この漫画はねえ・・・なんていうのかしらねえ・・・。
魂を揺さぶられた漫画ね・・・。
これを名作とせずに何を名作と呼ぶの・・・?
もう、本当に良かった。
秀良子先生の作品って「リンゴに蜂蜜」を初めとする、ホモの心情を主観的に掴んでて現実世界における葛藤と否定を盛り込んだ要素を展開するのが得意な方だと思ってたんだけど、この漫画はその要素はないわ。
一途である事が結びつける結果や純粋な愛、その過程にある羨望や努力。
そういった誰もが望む恋愛観こそがこの作品におけるテーマなのよね。
表紙からは全く伝わって来ないけど!(憤怒
あらすじ
とっても金持ちな明治君はことあるごとに、とっても貧乏な三崎君につっかかる。そのたびにフワリとかわされて……そんな毎日。でもある日、三崎君のお母さんが倒れてしまう。三崎君は学校をやめて働こうとするのだが、そこに明治君のお祖父様がまさかの契約を持ちだして……? 時を、記憶を、重ねて透けるそれぞれの願いを丁寧に描いた優しくて微笑みに満ちた物語。
こんな感じね。
やはりこの物語の良さを言葉に代えるのは難しいわね。
ぶっちゃけ表紙といい、タイトル名といい、このあらすじといいコメディなお話に見えるかもしれないけどそんな事ないわ。
立派なヒューマンドラマよ。
この出来事が起こる背景にある各人物の心情を描いた部分こそがこの漫画の最大の持ち味なの。
登場人物
三崎(表紙右)
大家族の長男で貧乏。
お金を稼ぐために学校内で天然水を売ったりしている。
飄々とした性格。
明治(表紙左)
明治グループの跡取りでお金持ち。
学園の理事長の孫にあたる。
何かと三崎に突っかかるが、何故かはもはやお約束。
理事長
じじい。若かりし時クソイケメン。
明治の祖父。
学生時代、恋心を抱いていた人の孫が三崎。
今でもその恋心はなくなってはいない。
感想
ストーリー・キャラクター・絵
可愛くて、美しくって、詩的な部分もある漫画。
どちらかというと地味な見た目のキャラが多かった秀良子先生だけど、画力が凄まじく上がっており今作は華がめちゃめちゃあるキャラに仕上がっている。
特筆すべき点は主人公である2人の物語だけではなく、60年前の恋を忘れられずにいるじじい理事長サイドのストーリーもすこぶる良い。
さすがにじじいの状態での恋愛模様を描くのは色々とまずかったのか分からないけど、そういった恋愛部分の描写が若かりし頃のキャラに変化し、身も心も「時が戻っている」という印象をこちらに与え、些細な事ですら時を馳せて幸せを噛み締めているのがよく伝わってくる。
三崎の祖父とは結果的に結びつく事がなかったため、切ない思い出ややりとりであるけれども、巻末のオマケを見てからもう一度読み返すとその切なさが形を変えて、違う感情が尋常ではないくらいに沸き起こってくるわ。
そして主要人物である三崎と明治。
三崎の感情の変化と明治の変わらない一途さ。
ここよ、ここも秀逸なの!!
恋愛に至る部分はよくある流れでよくある結果になるんだけど、よくあるレベル遥かに超えているって事を強調しておくわ。
見所は・・・。
多すぎてダメ・・・書けないわ。
とにかく物語の山場があり過ぎる・・。
2人の物語だけじゃないからね、理事長の物語もあるからね。
発展
ない、全くない。
でも・・・これで良かったのかもね。
淡く強い感情を描いているんだもの。
まとめ
アタシも、恋愛にくじけそうな時にこの漫画読む事に決めたわ。
男同士の愛だって本当に良いものなんだなって思わせてくれる作品。
物語を重視する人は絶対に気に入る名作よ。
「雷神とリーマン」並にオススメ。