渥美好司
2016年6月10日03時00分
東京電力柏崎刈羽原子力発電所の横村忠幸所長は9日の定例会見で、炉心溶融による格納容器の損傷を防ぐ独自設備を全7基につけ加える計画を明らかにした。規制基準にはない自主対策で、国内の原発では初めてという。
過酷事故時に炉心の全燃料が溶け出す事態を想定。圧力容器の底を破り、約2100度の溶融物が格納容器側に流れ出す。格納容器に落ちてコンクリート床(厚さ160センチ)に触れると穴があき始める。規制基準では、溶融物が床に触れる前に大量注水して冷やせばいいことになっている。
東電が「弱点」と考えたのは、多くの原発で存在する床面のへこみ。柏崎刈羽原発7号機の場合、床の厚さは最も薄いところは20センチ。落下した溶融物が冷却できずに熱いまま触れれば、格納容器の外側まで穴があいてしまう。そこで、へこみの周りに2700度まで耐えられる囲い(高さ65センチ、全長9メートル)を作ることにした。5月、7号機で工事が終わった。
横村所長は「できるかぎり想定外のことも考える。安全対策にこれで終わりはない」と話す。(渥美好司)
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