泉田裕彦知事の県政運営に対し、県市長会と県町村会が問題点を列挙した文書を公表したことで、10月の知事選が騒がしくなってきた。泉田知事は「市町村の総意という認識はない」「知事選出馬を模索する方がとりまとめた」と反発。市長会長の森民夫・長岡市長は9日の記者会見で、文書の必要性を強調した上で、自身の立候補は「考えていない」と述べた。
文書は「泉田県政3期12年間に生じた問題」と題し、26項目にわたって泉田県政の問題点を列挙した。両会は5月27日に知事に提出し、同30日に報道機関に発表した。
4選を目指す泉田知事は、後援会が両会に推薦願を出している。市長会は「知事がどう対応する意思があるのか確認し、議論を深める」と説明する。
泉田知事は1日の定例記者会見で反発した。文書が両会の総意でないだけでなく、自身が不在中に届けられたことにも、問題を指摘するなら話し合いの形をとるべきだと批判した。
さらに、「知事選への出馬を模索していると言われる方が中心となってとりまとめたと受け止めている」とまで言及。「話し合いの場を設けていただくか、県民の審判を仰ぐか、第三の道を考えるのか。どれでも対応したい」と話した。
森市長は泉田知事が初当選した2004年の知事選に、一時、立候補に意欲を見せたことがある。一部の市長からは「年齢、実力ともに問題ない」と、今回の知事選への立候補を期待する声も上がる。会見では、泉田知事が言う「模索する人」なのではないかとの質問には「知事に聞いて」とし、立候補は「考えていない」と述べた。
また、知事の発言については「基本的に総意だ。妙高市長と見附市長に一任すると、了承を得た」「課題があれば解決するのが当然。だから投げかけた」と反論。前回知事選時に、県と市町村の協議の場を設けると合意し、開催されたものの、不十分だっという。公表の必要性については「市長会という機関が検証するのだから公表はセットだ」とした。
一方、知事に同調する首長も。小池清彦・加茂市長は取材に「知事の言うとおり。総意ではない」と話し、公表自体が事後報告だったとも主張した。
4月の市長会で文書の原案が示されたが、小池市長は森市長に「検討には加わらない」と伝えた。その後は連絡がなく、5月30日に「事前にお知らせすべきところだったが、知事にお届けした」との案内付きの封書が届いたという。
小池市長は「知事のマイナス面ばかり書いてあり、知事選にものすごく影響を与える文書。公表する以上は話し合うべきだが、なされていない」と批判した。(伊丹和弘、田中恭太)
■文書にあった指摘の一部
●焼却灰の埋め立て作業に対し、知事が繰り返し過激な発言をした結果、引き受けた18都府県の中でも大幅に少ない量となった。東日本大震災の被災地からの期待を裏切り、十分な支援ができず、極めて残念。
●2013年に「県と市町村の協議の場」が設けられたが、子ども医療費補助制度をめぐる混乱や、介護資格取得支援策に関して類似の予算事業が創設されるなど、調整を欠く事態が頻発している。県予算案確定前に実質的な協議を行うべきだ。
●北陸新幹線の速達タイプが県内駅に停車しない。この問題をめぐる知事の姿勢で国やJRなどとの信頼関係を損なう危機もあった。意思疎通に積極的に取り組む必要がある。
●病児・病後児保育は、施設整備に対する補助とともに、医師、看護師の確保などにかかる県の支援を拡充すべきと考える。
新着ニュース
おすすめ
おすすめコンテンツ
※Twitterのサービスが混み合っている時など、ツイートが表示されない場合もあります。
朝日新聞官邸クラブ
PR比べてお得!