――卒業を決意した一番の理由は何だったんでしょうか。
鈴木
小さいころから、アイドルになることと福祉に関わるお仕事の2つに憧れていたんです。アイドルになる夢が叶ったことは本当に幸運だったんですけど、もう1つの夢だった福祉関係のお仕事に進もうと思い、今回卒業することを決めました。期間的にもデビューから5年っていうのが1つの区切りかなって思うし…。さくらちゃんはどう思った?
小田
聞いた時は驚きました。やりたいことを見つけて卒業することはすごく素敵だなと思いましたけど…とにかく驚いた! 鈴木さんは先輩の中で一番仲良しだから寂しい反面、昨年末に卒業された鞘師里保さんも同い年だったので「んっ? この流れは私もそろそろ卒業しなきゃいけないのか…!?」って気がして(笑)。
鈴木
ごめ~ん(笑)。でも、メンバーだけじゃなくて、ファンの方にも「寂しい」って言葉をたくさんいただいたので、卒業するまでにできるだけ恩返しをしていきたいです。
――モーニング娘。の卒業公演といえば、これまでにも数々の名場面が生まれてきましたが、思い出に残っている公演はありますか?
小田
加入前なので完全にファン目線ですけど、亀井絵里さん、ジュンジュンさん、リンリンさんが卒業した「ライバル サバイバル」ツアー(2010年)は伝説じゃないですか? あのライブはすごかった!
鈴木
今でも語り継がれてるよね。実は当時、私はモーニング娘。オーディションの合格発表を聞く直前で、その卒業公演を「ファンとして見るか、メンバーとして見るか」っていうモヤモヤした時期だったんです(笑)。会場には行けてないんですけど、改めて映像で見返すと「本当に伝説だった!」と思う。
小田
あとは
「GIVE ME MORE LOVE」ツアー(2014年)の道重さゆみさんの卒業。あれはまた別のかたちで後世に語り継がれるなと(笑)。道重さんの足のケガっていうトラブルの中で、みんながそれをカバーして、よくあんなに綺麗なパフォーマンスができたなって。
鈴木
あの日は人生で一番頭を使ったよね(笑)。でも結果的に「道重さんが作ったモーニング娘。は、こういうトラブルにもちゃんと対応できる」 ってことを証明できた。グループに生まれた“家族感”のおかげでやり遂げられたと思う。
小田
“家族感”って重要ですよね。道重さんが卒業されてから、その雰囲気を作ってくれたのは鈴木さんだったと思うんですけど…。
鈴木
ホントに? そう言われてみれば、楽しくやっていくための雰囲気づくりは頑張ったかも。レッスンしていても雰囲気が悪いと集中力が切れちゃうもんね。「(佐藤優樹のマネで)あ~、もうやりたくない!」みたいな(笑)。
小田
確かに(笑)。でも鈴木さんがいつも笑顔でいてくれて、本当に救われましたよ。
鈴木
私は笑顔担当をさくらちゃんに受け継いでほしい! 卒業公演でも「最後に笑顔が見れて良かった」と言ってもらえるように頑張らないと。
鈴木
2014年の春だから、
「―エヴォリューション」は私が高校生になって初めてのツアー。義務教育からは解放されて、お仕事に力を入れようっていうタイミングだったんです。やったことのある曲が多いセットリストだったので、改めてパフォーマンスするにあたって歌詞の意味を考えたり、とにかく集中してましたね。気持ちに余裕があったからこそ実践できたツアーだったと思います。
小田
私、
「―エヴォリューション」ツアーにはトラウマがあるんです。「Only you」の歌詞がどうしても覚えられなくて、本番で何回も間違えちゃって、ツインボーカルで私と交互に歌う鞘師さんにも迷惑を掛けて…。結局、私のパートは全部、譜久村聖さんに歌ってもらうことになったんです。映像になってるのは、このツアーで私が歌った最後の「Only you」ですね(笑)。
鈴木
おそらくモーニング娘。史上初めての歌割変更(笑)。あと、6曲連続でパフォーマンスするなんて、今じゃ考えられないよね?
小田
「笑顔YESヌード」から6曲ノンストップだったんですよね。それまでは多くても4曲連続とかだったから、歌う前に「続いては6曲続けて…」って紹介した時の会場のざわつきがすごかった。(当時のセットリストを見ながら)いろいろ思い出しますね。今のツアーの映像と
「―エヴォリューション」を見比べると、たった2年なんですけど全然違うと思う。
鈴木
一番違うのは表情。この時は素直に楽しいから楽しい顔をしようって感じでした。もちろん歌詞の意味を考えて悲しそうな顔をしてみたり、自分では気を付けてパフォーマンスしていたつもりなんですけど、今と比べて表情のバリエーションが少ない。細かいですけど、最新のライブと比べるといろいろな発見があって面白いと思います。
鈴木
撮影当日のことは今でも覚えていますけど、何ひとつ緊張しなかったんです。小さいころ、アーティストのミュージックビデオのモノマネが友達の間でブームで、それの延長でやっちゃったんです。「初めての映像作品なのに何で笑っていられるの?」ってメッチャ不思議がられてました(笑)。
小田
「Greeting」は私も出させてもらったんですけど、今は恥ずかしくて見られないですね(笑)。公園で落ち葉をワッサーってまき散らしたり…。
鈴木
カメラにタッチ! とか今考えると恥ずかしいよね。だから、ある意味これはライブ映像以上に伝説の作品(笑)。
小田
私、中学のクラスメイトに見られちゃったんですよ。「小田、見たよ。落ち葉ワッサーってやってたね!」って。一時期すごいイジられましたね。私が落ち葉があるところに行くたびに、落ち葉をかけて逃げるみたいな…(笑)。本当に恥ずかしかったです。
鈴木
そうなんだ(笑)。でも、私がモーニング娘。に入って得したなと思うことのひとつは、カッコつけることが恥ずかしいことじゃなくなる、ということ。普通にプライベートでやったら恥ずかしいことでも、モーニング娘。の鈴木香音としてやると正解だったりする。今振り返ると、デビュー当初からそれを楽しんでたのかも。
小田
鈴木さん、大人な意見ですね。私は「あんなことあったな…」って冷静に振り返れない(笑)。もっと時間が必要です!