プリンスをスターダムへ押し上げた映画パープル・レイン
この映画が製作された狙いは単純だった。
最強のミュージックビデオを作る!
ミュージックビデオの時代
80年代に入ると個性的なPVがたくさん作られるようになった。
今あらためて観てみると、チープで笑えるものも多いのだが、低予算や技術の限界ゆえに面白い工夫がたくんさんされていたり、何よりアーティスト自身が強烈だった。
映画が非常に影響力を持っていたい時代だからこその成功。
80年代から90年代は映画が主導権を握っていた。特にブラックミュージック、ブラックムービーは映画とともにサントラが大ヒットし、アーティストの知名度も上がった。
全米400万枚のセールス1999(1982年)
プリンスのアルバム『1999』はレコード2枚組の大作だった。そしてヒット曲もでている。リトル・レッド・コルヴェットのMVも話題になった。
スリラー
マイケル・ジャクソンはスリラー(1983年)のショートフィルムでソロでも大ヒットを起こし社会現象にもなった。アルバムは6500万枚売れたといわれている。
それに対抗するようにプリンスがケシかけたのがパープル・レイン(1984年)だった。
マイケルが亡くなってから、プリンスはステージでマイケルのカバーをしたりしているので、嫌いではなかったようだ。善きライバル、そして憧れの存在であったのだと思う。
パープル・レイン
パープル・レイン、映画は6800万ドルの興行収入の大ヒット、アルバムは全世界で1500万枚のセールス記録
映画の見どころ50
まさにプリンス自身を投影したかのような存在キッド
家庭不和、バンドや恋人との関係でうなくいかないキッドの生きづらさを迫力あるライブシーンを中心に描いている。
豆知識も入れつつ、見どころを列挙していく。
- いきなりLet's Go Crazyのライブシーンから始まりテンションが上がる。
- プリンス、ギターはピックを使わない指弾き
- モーリス、アポロニアの人物描写がほぼセリフがなくさらっと行われる。
- ライブの観客のファッションがダサくて面白い。80年代って感じがする。
- ファーストアベニューの用心棒役は実際はプリンスの用心棒。
- バイクにまたがって背中にテレキャスターをそのまま背負って登場するキッド。キカイダーを思い出したのは私だけじゃないはず。
- アポロニアと会話をしているのがジル・ジョーンズ。その後アルバムも発売してデビューしている。アルバムではプリンスのWith Youのカバーがなかなかいい。
- レボリューションの演奏が終わってすぐThe TimeのJungle Loveがはじまる。
- プリンスに負けず劣らずの楽しいステージを披露する。
- 「マム!ダッド!」映画が始まって11分ごろ、これがキッドのはじめてのセリフである。
- 仲の悪い両親のケンカの仲裁に入るが親父に吹っ飛ばされる。これがプリンスのはじめての芝居らしい演技。
- アポロニア6のリハーサルでモーリスがダンサーをしごくシーンがあるが、あれは実際はプリンスがバンドに対して言っていた言葉らしい。
「もっと腰を振れ!足を踏みならせ!演奏に気をぬくな!」って感じだったらしい。 - ぼそぼそとしゃべるキッドはプリンスの普段の喋り方を投影してる。
- この頃のプリンスはニヤリと笑うと歯茎が出る。
- アポロニアがパンイチで池に飛び込む。きっとおっぱい審査があったと思うw
- ヒロイン役はヴァニティー6のヴァニティーが演じるはずだったが、撮影が始まって脱退している。現実でもドラマチックだった。
- 湖に飛び込む前のアポロニアの表情がかわいい。
- キッドのバイクはプリンス仕様になっていて案外小さいそうだ。
- 神風のはちまきをした人(デズ・ディッカーソン)が歌う(1999の頃のメンバー)モダネイアー(未発売曲)でもプリンスのコーラスが聴こえる。プリンスの声ってほんとに特徴がある。
- The Beautiful Ones 普段はおとなしいのにステージでは猛獣のように激しく歌う。不思議な人だ。
- キッドの部屋が地下室にあるという設定だが、これは実際にプリンスが家出をして、幼馴染のアンドレ家に住んでいた時に地下室を与えられたことに由来しているのかもしれない。
- The Timeのメンバー編成は第2期になっており既にジャム&ルイスはいない。その代わりThe Familyのポール・ピーターソンが加入している。もちろん映画にも登場。
- 親子関係、恋人やバンドの間でもめてるときのキッドの表情がめちゃくちゃいい。
- 考えてみれば、モーリス、ポール、アンドレ、ジャム&ルイス、ジェシーなど、プリンスと一緒に活動していたミュージシャンは有名になってる。ミネアポリスの奇跡の世代と呼んでもいいんじゃないだろうか?!
- パープル・レイン以前からバニティー6やザ・タイムのほとんどの曲をプリンス一人で作っている。多作なのは昔から。
- Computer Blueではマッチョなプリンスが見れる。
- 露出高めのウェンディがいい。
- ウェンディ&リサの存在はプリンスをより引き立てている。
- When Doves Cryの歌詞はこの映画のテーマといっていい。ギターはイントロだけ、ベースラインもなしという斬新な構成になっている。PVでギターとベースはプリンスの後ろで楽器も持たず踊るだけという、少し滑稽な感じになっているがこの曲は大ヒットした。
- Darling Nikki、この曲のキワドイ歌詞が原因で『ペアレンタル・アドバイザリー』が作られる。ほんと、音楽の歴史を変えてるよ。
- 映画ではアポロニア6の歌は1曲だけだが、アルバムが出ている。この映画だけで、プリンス、アポロニア6、ザ・タイムの合計3枚のアルバムが出ている。
- 映画には出演していないが、プリンスは1984年にシーラ・Eをデビューさせて、これもヒットさせている。なんたるワーカホリックぶり。
- キッド、父の自殺未遂で暴れまくるシーンは引き込まれる。
- それでもひたすらセリフは少なく、寡黙な青年を演じる。警察に事情聴取されているシーンはただ首を横に振るだけ。
- ほんとにセリフが少ないぞ!
- バードの演奏の後、キッドに嫌味を言うモーリスだったが、その後ひとりで神妙な顔をするシーンにどんな意味があるのか気になる。
- パープルレインの原曲をウェンディとリサが用意してくるが、実際はプリンスが曲を書いている。
- 実際にウェンディとリサと共作しているのはComputer Blue
- パープル・レインの演奏で調和が訪れる。
- 青でもなく赤でもない、パープルというプリンスのグレーゾーンを示している。
- 病室で父親がベッドで眠っていて母親がそれに寄り添って寝ているシーン。本当は愛し合いたいけど、ただ不器用なだけなんだ。そんなメッセージを感じる。
- I Would Die For You、Baby I'm A Starのライブシーンは、今までの暗さを吹き飛ばす勢いだ!
- 歌いまくる!踊りまくる!高いところからも飛び降りる!
- ファーストアベニューのオーナーもノリノリ!
- モーリスとジェロームも客席に混じってめちゃくちゃノリノリ!
- さっきのモーリスの神妙な顔は、本心ではキッドのことを心配してたんだ?!
- 実際、プリンスとモーリス(ドラム)はアマチュア時代に一緒に演奏してたけど、プリンスがデビューしてバンドを組む時に、モーリスの出番はなかった。そのこともあってプリンスはThe Timeというグループでモーリスに花をもたせている。Soul、Funk好きな層からはプリンスよりもザ・タイムの方が評価が高かったりする。
- なんてことのないストーリーだけど、引き込まれる不思議な魅力がこの映画にはある。
- プリンスが世界中のパープルを独り占めした映画だ。
- パープル・レインは見事プリンスを超有名にすることに成功したのだ!
パンフレット
もっか全米ヤングに爆発的人気(死語)
プリンスの生い立ち
著名人の声
PS:スターはやっぱり早くに亡くなってしまうものなのかな?(TT
友達が主催でプリンスのイベントを開催します。
興味ある人は是非。詳しくはFaceBookで。
- アーティスト: プリンス&ザ・レヴォリューション
- 出版社/メーカー: Warner Music Japan =music=
- 発売日: 2008/12/17
- メディア: CD
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プリンスの快活な演技を楽しむならアンチェリ
陽気なジゴロを演じていて、プリンスがおしゃべりだしユーモアセンスもあるし、楽しい作品です。しかし興行的には大失敗で酷評された。世間的にはきっと、暗くて狂ってるプリンスが見たいんでしょうねー。
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