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ヘイトスピーチ対策法成立も効力に疑問で低評価…「言論・表現の自由は誰かを傷つけるための権利ではない」

[2016年06月02日]

─保護対象が「適法に日本に居住する日本以外の出身者やその子孫」に限られたことについてはどうでしょう? ヘイトスピーチに象徴されるような差別が許されない理由は、より普遍的なもので、違法滞在の外国人や日本国内のマイノリティに向けた差別も同じ理由から許されないはずですが。

 ヘイトスピーチ対策法には、付帯決議として「人種差別撤廃に関する国際条約の精神に鑑(かんが)み適切に対処する」という一文が盛り込まれています。「人種差別撤廃条約」は1965年の国連総会で採択され、日本も95年に批准しています。

そこでの人種差別の定義は、「人種・皮膚の色・種族的出身などに基づくあらゆる区別・排除・制限または優先」となっています。アイヌや沖縄、あるいは被差別部落出身者などへの差別も、この条約に抵触します。また、日本国憲法14条でも「国民」という但し書きは付きますが、門地を含めた法の下の平等や差別の禁止が明記されています。

違法滞在の外国人をどう扱うかという問題については、09年にフィリピン人の両親が国外退去処分となり、当時14歳で日本にひとり残され、居住地域や通学校が排斥デモの対象になったカルデロンのり子さんのケースが思い出されます。このようなケースに対しても、国連の人種差別撤廃委員会は04年、日本政府に対して「人種差別に対する立法上の保証が出入国管理法令上の地位に関わりなく、市民でないものにも適用されることを保障すること」という勧告を行なっています。

人種差別撤廃の理念は、国境を越えた普遍的なものです。違法滞在の外国人でも、日本国籍を持つマイノリティであっても、人種差別の対象にしていいという理由はどこにもありません。

─憲法第21条で保障された言論・表現の自由との整合性はどうでしょう? 例えば、沖縄の米軍基地問題をめぐって、「米軍は出て行け!」という反対派住民のデモもヘイトスピーチにあたると主張する声もありますが。

 今回のヘイトスピーチ対策法で問題とされているのは、あくまでも「差別的言動」です。では、差別が行なわれる根拠はどこにあるかを考えてみると、自分が相手よりも優れているという「優越性」に行き着きます。沖縄で基地移設反対デモを行なっている人たちは、米軍に対して「優越性」など抱いてはいません。従って、沖縄の事例はヘイトスピーチ対策法により規制されるものではないのです。

また、日本の刑法では「名誉毀損罪」(第230条)、「侮辱罪」(第231条)、「脅迫罪」(第222条)が規定されています。これらの刑法上の規定が、言論・表現の自由を保障した憲法に抵触すると考える人はいないと思います。そして、現在横行しているヘイトスピーチには、これらの罪に該当するものが少なくありません。

─ドイツは、基本法(憲法)で言論・表現の自由を保障しながら、「ハイル・ヒトラー」という発言やナチ式の敬礼、ハーケンクロイツ(鉤十字)の意匠を掲げることなどに対しては厳しく取り締まっています。

 それは、民主主義の根幹をなす言論・表現の自由にも制限があることを国として示した例と言えます。その背景にあるのは、ナチの行為や思想を「絶対に継承してはいけない」という、戦後ドイツの強い決意です。また、ナチが迫害・虐殺の対象としたユダヤ人たちがドイツに対して感じる脅威や恐怖を低減させるという外交的あるいは内政上の意図もあったでしょう。

大切なことは、ナチ関連の例のように言論や表現を規制する際に「なぜ、それらを規制するのか?」ということを徹底して教育・啓発することだと思います。これが十分に行なわれないと、規制の背後に「何か真実が隠されている」と考える人が出てきたり、極右思想が広がる温床にもなりかねません。日本でも、ヘイトスピーチ対策法成立に加えて、「なぜ人種や民族などを理由とした差別がいけないのか?」という教育を徹底していく必要があります。


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