2016年6月1日(水)

入ったら最後 ブラックバイト業種別被害マップ

データは踊る【11】

PRESIDENT Online スペシャル

著者
舞田 敏彦 
武蔵野大学、杏林大学兼任講師

1976年生まれ。東京学芸大学大学院博士課程修了。博士(教育学)。専攻は教育社会学、社会病理学、社会統計学。主な著書に『教育の使命と実態』『47都道府県の子どもたち』『47都道府県の青年たち』(いずれも武蔵野大学出版会)などがある。

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武蔵野大学、杏林大学兼任講師 舞田敏彦=文
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判明! ブラックバイト被害の多い業種

しかし近年、学生の生活困窮と産業界の人手不足のマッチングにより、度の過ぎたバイトがはびこるようになっています。長時間労働はもとより、正社員並みの責任を負わされる、試験前でも休ませてくれない、辞めさせてくれないなど。

いわゆる「ブラックバイト」です。

学生のバイト上のトラブルに関する公的調査として、厚生労働省の『大学生等のアルバイトに対する意識調査』(2015年)があります。これによると、ファーストフード業界でバイトした経験のある学生(大学生・短大生・専門学校生)のうち、合意した以外の仕事をさせられた者が21.3%、合意した以上のシフトを入れられた者が28.0%となっています。

これは、ファーストフード業界の数値ですが、他の業種はどうでしょう。横軸に「合意した以外の仕事」、縦軸に「合意した以上のシフト」の被害経験率をとった座標上に、28の業種を配置すると図2のようになります。

右上には、先ほどみたファーストフードのほか、コンビニ、スーパー、居酒屋などが位置しています。多くの学生が従事する、メインバイトのブラック度が高いようです。これらの業界では、人手不足が深刻なためでしょう。

これからバイトしようという新入生に注意を促す意味で、大学の学生支援課などで、こういう図を配布してはどうでしょう。各業界の自浄作用を促す上でも、効果があるかと思います。

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