2016年6月1日(水)

入ったら最後 ブラックバイト業種別被害マップ

データは踊る【11】

PRESIDENT Online スペシャル

著者
舞田 敏彦 
武蔵野大学、杏林大学兼任講師

1976年生まれ。東京学芸大学大学院博士課程修了。博士(教育学)。専攻は教育社会学、社会病理学、社会統計学。主な著書に『教育の使命と実態』『47都道府県の子どもたち』『47都道府県の青年たち』(いずれも武蔵野大学出版会)などがある。

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武蔵野大学、杏林大学兼任講師 舞田敏彦=文
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親のスネをかじれない大学生

時計の針を1カ月戻しますが、大学生の皆さんは、今年のGWはどう過ごされましたか。私は毎年、この質問を学生さんに投げかけるのですが、「ずっとバイトでした」という答えが多く返ってきます。

まあ、私の頃(90年代半ば)もそうでした。大学生のバイト経験率が、最近になってとみに上昇しているのではありません。でも以前は、遊びのカネ目当てのバイトが多かった気がします。GWのバイトにしても、夏休みに友達と海外旅行に行く資金を稼ぐというように。

しかし今は違っているようで、「バイトして、どっか遊びに行くの」と尋ねると、「いいえ」と返されます。では何のために? それはデータに語ってもらいましょう。図1の折れ線は、大学生(マンモス私大の日本大学学生)のバイト目的の変化です。

「旅行・交際・レジャー」が減り、変わって「生活費・食費」稼ぎの回答割合が増えています。2012年度では、バイト学生の半分近くがこの目的を選んでいます。

昨今の経済状況の悪化により、親に頼れない学生が増えているのでしょう。仕送りも減っており、最近では下宿学生の4割近くが仕送り月額5万円未満です(図の棒グラフ)。これでは、家賃と光熱費を払っておしまい。残りは、自分で稼ぐしかありません。生活費・食費稼ぎのバイトが増えているというのは、頷けます。

「大学生ともなれば親のスネをかじってばかりではなく、自分で稼ぐべき」という考えもあるでしょうが、バイトは学業に支障のない範囲にとどめられるべきです。

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