少し前に友達と話していて登山する人のリュックには何が入っているのか? と言う話になった。
その時は「いやー、色々と必要なんだよー」とふんわりした回答しかしなかったけど、じゃあ色々って何よ? と。
友達への回答も含めて、都内からの日帰り登山で必要な物とかリュックに入っている物とかの話。
リュックサック
先ずは何をおいてもリュックサック。これが無いと登山は始まらない。
稀に高尾山とか大山とか富士山にトートバッグとかコンビニの袋とかダッフィーさんバッグで来る人が居るが辞めて頂きたい。
登山は全身を使った活動なので場合によっては手を使う。
その時に手が塞がっていると非常に危ないのだ。
場合によっては、転んだ事が発端で大きな事故に繋がる。
そうなると迷惑するのは当人だけでは済まなくなるので、自分の為、他の人に迷惑をかけない為にも極力リュックサックでの登山を推奨したい。
登山用リュックの特徴はいくつもあるけど大きなポイントは背中の通気性、リュック自体にいくつか仕切りがある、腰と胸の部分のベルトの有無が大きい。
背中の通気性は、登山しながら長時間背負い続ける為、仕切りは物が多いので必要なシーンごとに分ける為に必要だ。
個人的には腰と胸のベルトの有無が大切で、リュックの重量は肩じゃなくて胸と腰で支える様になると劇的に楽になる。
実際に腰と胸にベルトがあるリュックを背負わないと感覚的に解かりづらいが、負荷が分散されるのでかなり楽だ。
思うに腰のベルトで加重の方向を垂直方向から(若干でも)斜めに変えているので体感的な重さが違う。
ショップの店員さん曰く、「リュックサックは重いものを選べ」だそうだ。
女性や登山初心者は重量を軽くする為にとにかく軽い商品を選びたがるが、長時間の活動では如何に体に負担をかけないか? が重要になってくる。
その時に安易に軽いだけのリュックでは前述の負荷の分散が出来ないので疲労を感じやすい。
話は脱線するが、その貴重なアドバイスは神保町の「アキバスポーツ」にて伝授して頂いた。
チャキチャキの江戸っ子店員さんが独特のべらんめぇ調で懇切丁寧に教えてくれるのだ。
その店員さんは往年のショーン・コネリーを彷彿とさせ、個人的に大好きである。
AkibAスポーツ | スノーボード専門店 AkibAスポーツ
トレッキングポール
リュックサックに続いて登山といえばこれ、と連想するアイテムその2。
ただ登山全体、少なくとも日帰り登山での重要度はそこまで高くは無い。
「有りか無しか」で言えば「有り」だが無くてもあまり困らない。
トレッキングポールの役割は大きく分けて2つ。
・前方への補助推進力
・バランスのサポート
前方への補助推進力はスキーと同じ原理で足だけで登るのではなくて、補助的に腕の力を使って推進力を得る。
スキーを平地で漕ぐイメージが近いか?
1本使いの方も居るので個人的にはどちらでも良いと思う。
2本の方が右・左・右とテンポ良く進めるので好きだが、1本でも結構なんとかなる。
当然、RPG等と違って実際に山に登る際は自分自身の「積載重量」と相談しながらアイテムを選定するので小回りの利く1本装備でも問題無い。
(トラックも人間も過積載は事故の元なのである)
バランスのサポートは、手の延長線上としての使用だ。
平坦な場所が少ない登山中に木の根、石ころ等で足を取られそうな場合に文字通り「転ばぬ先の杖」として使う。
めまぐるしく文化が変わる昨今、ここまで諺を体言している物も少ないのではないかと個人的に思う。
値段もピンキリだが日帰り登山であれば2本で3,000円程度の物で十分である。
高額になると1本で20,000円以上とかあるので恐れ多い。
水
水分補給以外に調理や怪我をした際に患部の洗浄等に使う。
水分補給ならスポーツドリンクで十分だけど、怪我の事を考えると水も500ml位は装備しておきたい。
水がないと怪我の患部を経口保水液@塩水で洗うハメにもなりかねない。
文字通り「傷口に塩を塗る」事が無い為にも水は必要量より少し多めに携帯したい。
似たような経験で以前、山頂での食事に戦闘糧食(ミリメシ)を初導入した事があった。
まだ、ガスバーナーを装備する前だったので、山頂での始めての暖かい食事に期待は大きかった。
無事山頂に到着! さぁメシだメシだ!
喜び勇んで準備に取り掛かり……水持ってきてなーい。
この日の水分、麦茶&スポーツドリンクのみ。
散々悩んだ末、スポーツドリンクよりはマシだろうと麦茶での煮炊きを決行。
あたりに麦の香ばしい香りをさせながら戦闘糧食を食べたのだ。
今ある物でピンチを乗り切るのも大事だと思うが、そもそもピンチを招かなければ乗り切る必要も無い訳で。
備えあれば憂いなし、なのである。
『カオスだもんね!』最新型のホカホカになる“ミリメシ”でレッツパーリィ!? - 週刊アスキー
PRIMUSガスバーナー
前述の麦茶煮炊き事件から反省し、速攻で購入したガスバーナー&ボンベ。
真ん中のちっちゃい部品をバーナーのヘッドに装着し、さらに右下のゴトクを装着する。
ボンベ部分は300~500円程度で購入が可能だが、ゴトク部分が7,000円前後と結構高額なのだ。
思うにこれを購入すると、ハイキングで出かけますとかじゃなくて「登山が趣味です」って感じがする。
値段が値段なので購入してしまうと後に引けなくなった感はある。
バーナーの種類もガス・石油と有りどちらも一長一短である。
ただ、石油バーナーは重量や運搬の問題から日帰り登山には向かないので基本的には写真のイワタニ製のガスバーナーがサイズ的にもコスト的にも調達がしやすい。
まれに家庭用のバーナーを持ち込んでいる方が居るが高い山になると気圧の関係から火が着かなかったり破裂の危険もあるので専用のボンベ&バーナーの方が安心である。
調理器具
いわゆる「コッヘル」である。
小型のフライパンと鍋のセットで水を沸騰させる際はフライパンが鍋の蓋になる。
基本的にこの2種類で全ての調理を行う事になる。
グレーの配色に赤字で「PRIMUS」とシンプルなデザインが非常に男心をくすぐる。
洗物が出来ないので山では鍋から直接食べるが、コーヒーはそういう訳に行かないのでマグカップを別途持って行く。
この辺りは完全に趣味の世界なので壊れやすくなければ何でも良いと思う。
今使っているホーロー製のマグカップは最悪落としても割れないのでタフに使える。
スプーンとフォークは折りたたみ式なので使わない時はマグカップの中か、コッヘルの中に格納しておく。
かっこよく言うと「フォールディング・フォーク」「フォールディング・スプーン」なのでやっぱり男心をくすぐる。
横文字と変形機構が男は大好きなのである。
ちなみにコッヘルの中には前述のバーナー用ボンベが格納できる。
登山中にかさ張らない用に同一メーカー品ならではの細やかな心遣いが嬉しい。
コッヘルの中にちょこんと納まるボンベがかわいい。
レジャーシート&折りたたみ座布団
ソロ活動で何度か登っている山に行く場合はあまり必要ないけど、複数人で登ったり始めての山に登る場合は携帯したい。
その辺の石に座ればいいじゃんと思うかもしれないが、昼時の山頂をナメてはいけない。
高尾山や筑波山などその辺の石にも座れないほど混雑する時がある。
登山の醍醐味である昼飯くらいはゆっくりと、時間が経つのを忘れてくつろぎたいものだ。
余談になるが、登山は登るときは靴紐を少しゆるめに縛り足首を動きやすくする。
反対に下山するときは少しキツめに縛り、下り坂で足が滑らない様にしておく。
その為にも分水嶺となる昼食時は靴を脱いで、後半戦に備え足回りのチェックを入念にしておきたい。
その他 食料品等
今までのアイテムが基本的に持って行くもので後は主に昼食に左右される。
炒飯とか作る場合は少し大きめのフライパンとタッパーに卵を入れて行くし、油も必要になってくる。
反対に簡単に済ませるならおにぎりやカラアゲをラップに包んで持って行けば帰りの荷物を大幅に減らす事が出来る。
あと食後のコーヒーは必ずドリップ式の方が良い。
食後の眠気防止と、「山の上でコーヒーをドリップして入れる」プレミアム感がささやかながらも至福のひと時を演出してくれる。
そのコーヒーとチョコレートをつまみながら食後の時間をゆっくり楽しみたい。
行動食としてグミ・飴・チョコレートなど気軽に口に入れる物で適宜、塩分とエネルギーを取りながら登山をする。
普段よりエネルギーを使うので、いわゆる「シャリバテ(ハンガーノック)」にならない様に、自分の体力と相談しながら摂取していきたい。
自動車に例えるならばガス欠であり、肉体がエネルギーを失った状態を意味し、自らの意志とは関係なく、体は動きを停止する。意識がはっきりしている場合でも、思考は通常より鈍る。回復には、ブドウ糖・果糖など、糖質補給が有効である。一番早く回復させるには点滴を打つ。
中高年登山塾(41)危険な「シャリバテ」:山への誘い - シニアの星 47NEWS(よんななニュース)
その他にバンドエイドと包帯、湿布をポーチに入れて装備している。
殆ど気休め程度の治療しかできないが無いよりはマシだろう。
非常に地味な存在ながら赤ペンとメモ帳、ゴミ袋も入れてある。
普段あまり意識しないがなにかトラブルがあった時に紙に書けるのは大切だし、ゴミを小分けして持ち帰る為に、ごみ袋もいくつかあった方が便利だ。
本当は芯を抜いたガムテープや針金等の修繕用品があるともっと良い。
ブーツの底が剥がれたりした際は針金でぐるぐる巻きにして、応急修理をして下山する等の対策が取れる。
以上の様に登山者のリュックには必要最低限にしてある程度の状況にも対応出来るように様々な装備が入っている。
高尾山の1号路でゆっくり登山する場合は必要ないかもしれないが、それ以外の場合はある程度の装備を持って登った方が良いと思うのだ。
それでは、また。