【コラム】「日本の汚れた手」を握った米国の現実重視

ベトナム、広島、李洙ヨン
日本にばかりこだわれば、韓国の視線は過去に向くだけ
現実と未来を変える米中の北東アジア・ゲームを韓国は断片的にしか見ていない

 オバマ大統領は訪日に先立ちベトナムを訪れ、50年以上続いた武器禁輸措置を解いた。米国製武器でベトナムを武装させようというのだ。オバマ大統領の広島訪問は、その延長線上にあると解釈するのが現実的だ。ベトナムは南シナ海で、日本は東シナ海で、米国と手を結んで中国に対抗している。オバマ大統領は日本で「核兵器のない世界」と同じくらい日米同盟も強調した。中国がオバマ大統領の広島訪問当日に米国の中国包囲網を非難し、「南京大虐殺を忘れてはならない」と厳しく対応したのは、広島訪問の政治的意味や文脈を読み取ったからだ。中国が昨日、北朝鮮の外交を総括する李洙ヨン(リ・スヨン、ヨン=土へんに庸)朝鮮労働党副委員長を突然北京に呼んだのも、同じ脈絡だと解釈できる。このように複雑な情勢を、韓国はただ自国の特別な歴史的経験にこだわり、断片的にしか見ていない。

 私たち韓国人は、大国の影響から逃れられない所で暮らしている。このような国だからこそ、深く考えて大局を見なければならない。ところが、日本にばかりこだわれば、韓国人は現実を過去の物差しでしか解釈できなくなる。善悪の区別で自分と他人を混同することもある。歴史を前面に押し出せば、世界が韓国の境遇に理解を示し、韓国人の主張に同調すると信じている。だが、果たしてそうだろうか。米大統領は日本の「汚れた手」を握った。「パール・ハーバー」と言う代わりに「ああ、ヒロシマ」とやさしく応えた。勝者の余裕ではない。過去よりも現実を重視しているからだ。米国はこの当たり前の原則を今後、韓国にも求めることだろう。

鮮于鉦(ソンウ・ジョン)論説委員
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